東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表した2018年度の「首都圏不動産流通市場の動向」によりますと、
首都圏での中古マンションの取引価格は“6年連続で上昇”を続けています。
さらに成約件数も高水準のままを維持していることから、積極的な取引が行われてる事が読み取れます。

このような状況になっている背景と実際の市場の動きを見ていきましょう。



目次
1. 2016年以降は高水準を維持
2. 新築マンション市場は大きな変化なし
3. 市場の変化に注意


1. 2016年以降は高水準を維持


「首都圏不動産流通市場の動向」を詳しく見ていくと、中古マンションの成約件数は2018年で37,217件。前年にあたる2017年は37,329件であったため-0.3%分下がってしまったのは事実ですが、実際にはそれほど大きな差はありません。
むしろ全体的に見れば、2015年までは34万件台だったものが翌2016年には37万件台に急増して以降、そのままの高水準をキープし続けていることが読み取れます。

同時に㎡単価も51.61万円と前年比3.2%上昇がみられており、2013年以降6年間連続で上昇しています。
単価が上昇すれば物件自体の平均価格も上昇しますから、成約物件の平均価格も3.333万円とこちらも前年比4.3%上昇。同じように6年連続で増えているのです。

また、中古マンションの価格帯別成約件数にも、ここ数年で明らかな変化がみられます。

2014年時には5,000万円以下の取引が中心だったものの、2018年では3,000万円以下の成約件数が減少傾向に。
その代わりに5,000~7,000万円台の取引が増加を続けているほか、8,000万円~1億円台、さらには1億円以上の取引も2014年代と比べると倍以上に増えているのです。

もちろん中古マンションの平均価格が全体的に上昇してるという理由もあるのでしょうが、高額帯の中古マンション取引も積極的に行われていることがわかります。

基本的に中古物件は値付けをする際に相場を参考にすることが多いので、中古市場の影響を強く受けがちです。相場が上がれば上がったその価格を参考にして値段を決定するために、このような状況を作り出したという考え方もあるでしょう。

しかし新築マンションだけでなく中古マンションにも多くの人が注目するようになり、市況が活発に動き始めた結果、条件の良い高額の中古マンション取引も増えたのではないでしょうか。


2. 新築マンション市場は大きな変化なし


中古マンションの人気が高まり購入の幅が広がっても、中には「マイホームを購入するのであれば新築マンションにしたい」と考える方も多いのは間違いありません。

不動産経済研究所が公表した「首都圏マンション市場動向2018年」を見ると、2018年に供給された新築マンションは37,132戸で、前年度にあたる2017年より3.4%増加しています。
1㎡の単価も前年比1.2%増の86.9万円、平均価格は前年比0.6%減の5,871万円となっております。

こちらは調査方法が異なっているため厳格に比べることは不可能ですが、年々増加を見せ続けている中古マンション市場と比べると、新築マンション市場はどちらかと言えば大人しく、大きな変動は見られません。

この状況だけを見てしまえば中古マンションだけが価格が上昇し、新築マンションはほぼ変わらず、とも受け取れますが実際はそう単純なものではないのです。

㎡単価で比べると2018年は中古で51.61万円、新築で86.9万円で、その差額は35.29万円になりますが、その前年度の2017年では中古で50.00万円、新築で85.9万円でその差額は35.9万円と、差がほとんど変わってないことがわかります。
中古マンションの取引が活発になりだした2015年でも差額は32.65万円ですから、長い目で見ても、新・中古マンションの価格の差が狭まるという事はなさそうです。


3. 市場の変化に注意


上述したように調査方法が違うため正確な比較対象とは言えないものの、新築マンションは供給量も価格もやや高めのままでほぼ変化がなく、中古マンションは価格を含め全体的に上昇傾向にある、と読めるでしょう。

一般的な収入のサラリーマンなどには依然新築マンションに手を出しづらい現状が続いているのです。
その上で予算が豊富な層は、選択肢がより広く、広さや環境などの条件がより良い高価格帯の中古マンションを選ぶようになった、とも見れるかもしれません。

このような状況はしばらく続くと予想されているようです。

2019年10月1日にはついに消費税率が10%に上昇しましたが、かつての増税時と比べても現時点ではそれほど混乱はみられていません。
おそらく、住宅ローン控除の延長やすまい給付金の拡充、新設される次世代住宅ポイント制度など、早め早めに対策を打ち出していたからでしょう。

なお、中古マンションでも住宅ローンを利用して購入すれば住宅ローン控除を受けることは可能です。
が、個人が売主の中古マンションは非課税のため、今回の増税対策であるローン控除の延長などからは除外されますので注意してください。

増税で大きな混乱はないものの、実際の購入層にどのような影響が出てるかはまだ不明ですし、翌年の2020年には東京オリンピックも控えています。

今後の市場の変化に注目していきましょう。