老後のための資産形成として、または不労所得のために不動産投資を始めたいと思っている方は少なくありません。しかし、不動産は高額な上に購入後もさまざまな手続きを必要とするため、なかなか踏み出せない方がいるのも事実です。
まだ自分の年齢では不動産投資を始めるのは早いのではと思う方、逆に今からではもう遅くはないのかと悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。

今回は、不動産投資を始めるのにもっともベストな年齢から、それぞれの年代から見た始め方や注意しておきたいポイントなどをまとめました。



目次
1. 不動産投資を始める年齢に制限はない
2. 不動産投資を始めるのにベストな年齢とは
3. 年代ごとの始め方とポイント
4. まとめ

1. 不動産投資を始める年齢に制限はない


まず気になる“不動産投資の年齢制限”ですが、原則として「現金で購入」できるのであれば不動産投資は何歳からでも始めることはできます。10代でも90代でも投資物件を現金だけで購入できれば、年齢は問題にならないのです。

ただし、不動産投資ローン(アパートローン)を利用して購入するのならば、年齢に一定の条件があります。つまり金融機関から融資が受けられる年齢なら、不動産投資を始めることは可能と言えるでしょう。
多くの金融機関では満20歳以上からと明記されていますが、勤続年数や就業状況などといった信用面が低い傾向が強いため、現実的には25歳以上が目安となるようです。
逆に上限年齢は返済終了時で84歳とされていることが多く、自己資金と返済期間のバランス次第ではローンが組めない可能性があります。
ポイントは年齢ではなく、「金融機関からの融資を受けられるか否か」になっているのです。


■団信には年齢制限がある
不動産投資ローンには“団体信用生命保険”(以下、団信)をつけられますが、この団信をつける場合に限り年齢制限が存在するので注意が必要となります。
そもそも団信とは、ローン契約者が返済中に万が一のことが発生した場合に、その時点でローン残債を弁済する制度です。生命保険とほぼ同じであり、その性質上年齢制限が存在します。金融機関や特約の有無などにもよりますが、申し込み年齢は70歳未満であることが多いでしょう。




2. 不動産投資を始めるのにベストな年齢とは


結論から言ってしまえば、“不動産投資を始める”という観点からみた場合のベストな年齢は「40代」になります。
もっとも、40代でなければ失敗するということではありません。40代以下でもそれ以上から始めても安定した運用を続けている人も多いでしょう。しかし、20代や30代のように収入や資産に不安があるわけでもなく、60代以上のように高額な自己資金を求められる可能性も低いことから、不動産投資を開始するのに適した年代と言えるのです。

とはいえ当然ですが、40代であれば問題なく始められるということではありません。個人属性や健康状態によっては融資が受けられないことも考えられます。あくまでも「始めるのに適している年代」だけである点には注意しましょう。


■50代以上は要注意
不動産投資を始めるのに年齢制限はなく、60代以上でも年齢に制限はないとはお伝えしました。
ただし、年齢が高くなってしまうほど始める難易度が高くなってしまうことがあります。

年齢が上がれば上がるほど、完済年齢までの期間は短くなります。例えば、その金融機関の融資完済年齢上限が“80歳”であった場合、その時60歳であればローン期間は20年です。融資期間が短くなれば、毎月の返済負担が重くなるでしょう。キャッシュフローも悪化しやすいため、十分な自己資金がない限り運用が難しくなることが多いです。

また上述の通り、団信にも年齢による制限があり、完済時年齢が一定以下でないと融資しない金融機関が多いようです。
団信を利用しないのであればこの制限はありませんが、やはり融資審査などでも不利になりやすいと考えたほうが良いかもしれません。


3.年代ごとの始め方とポイント




同じ不動産投資でも年齢によって状況が変わるため、注意すべき点などが大きく異なります。
ではここからは、それぞれの年代別で不動産投資を始める方法とポイントを見ていきましょう。


■30代以下
不動産投資は長期投資であり、「時間」がもっとも重要です。30代以下の最大の武器はこの時間になります。
最長の35年で不動産投資ローンを組むことも可能で、25歳で始めたとすれば60歳で完済しますから、老後不安の解消と同時に貯蓄もできるでしょう。若いほど健康面での不安も少なく病気のリスクも低いため、団信への加入難易度も低くなります。

ただし年齢が低い分、年収や勤務年数といった個人属性次第では融資が受けられないケースがあります。たとえ審査に通ったとしても、限度額が低かったり金利が高めだったりと不利なことも多いでしょう。そのような場合は無理をして不動産投資を始めるよりも、まずは個人属性を上げる、貯蓄を増やすことを考えたほうが良いかもしれません。
また、不動産投資は知識が重要な投資になりますので、早いうちから勉強しておくこともおすすめです。


■40代
不動産投資を始めるタイミングとしてもっとも適しているのが、この40代です。
30年から35年までの長いローンを組んで毎月の返済負担を抑えられますし、団信に加入して生命保険の効果を最大限生かすことも可能です。収入が安定し個人属性の不安も少なくなる時期ですし、頭金を用意しておけば借入総額を減らし家賃収入を上回らせることも難しくありません。収益に余裕があれば繰り上げ返済することもできるでしょう。
状況に応じて戦略を変えられるのがこの年齢の強みと言えます。

しかし個人属性や健康状態、他の借り入れ状況によっては、審査が通らず融資が受けられないこともあります。その場合は、それぞれの課題を解決することを目指したほうが良いでしょう。


■50代
ベストなタイミングは40代とはお伝えしましたが、属性に問題がなければ50代でも不動産投資を始めるのに適していると言えます。
とはいえ40代よりも定年退職の時期が近まっているため、借入期間も短くなりますし審査も厳しくなる傾向も。健康面に不安が出てくる年代でもありますので、場合によっては団信を利用するのも難しくなってくるかもしれません。

多くの自己資金を用意しておけば、借入総額や借入期間を減らせます。融資審査を有利にしたいのであれば、物件価格の3割程度の資金を用意しておくと良いでしょう。


■60代以降
融資審査が厳しい年齢です。定年退職後はローンが利用できないことが多いため、現金で投資物件を購入する形になります。ここまでに蓄えた貯金や、退職金などをあてるケースが考えられるでしょう。

投資物件を購入すれば手元のまとまった現金は無くなってしまうものの、家賃収入として毎月一定のお金が手元に入ってきます。年金代わりにしても良いですし、資産として家族に残すことも可能です。また、相続税対策として物件を購入する方も多いでしょう。この場合は、60代以降だからと悩む必要はありません。


4.まとめ


今回は、不動産投資を始める年齢についてをお伝えしました。

不動産投資に年齢制限はないため、学生でも定年後であろうとも始めることに関しては一切問題になりません。しかし、不動産投資をおこなう上で発生するリスクを可能な限り回避したいと考えているのであれば、40代あたりで始めるのがベストになります。
もちろん、それぞれの年代で発生しやすい問題を解決できるのであれば、40代にこだわることはありません。重要なのはその年代の問題と解決方法を知り、見極めることなのではないでしょうか。

小雪