投資への注目度が高まっている近年。その中でも長期的に渡って安定した収入が得られるという理由、または利回りが良い、さらに中には純粋に節税目的で“不動産投資”に興味持ち物件の購入を検討している方も多いでしょう。
しかし不動産投資とは言っても、戸建てから一棟マンション、アパートなど投資物件にも種類があり、どれもメリット・デメリットが存在しているもの。自分に合う物件はどのようなものなのか、どのようなものを選べばよいのか、悩みは尽きません。
ここでは不動産投資物件の各種類のメリットとデメリットをご説明した上で、「不動産投資初心者」のまず最初の一歩としておすすめな物件を紹介します。
目次
1. 一棟マンション投資のケース
2. アパート投資のケース
3. 戸建て投資のケース
4. ワンルームマンション投資のケース
5. 投資初心者におすすめなのはワンルームマンション投資
1. 一棟マンション投資のケース
一棟マンション投資は、マンションを建物をまるごと購入して全室を賃貸する方法になります。
少し前まではこのマンション一棟買いが不動産投資では一般的なスタイルでした。が、とにかく投資金額が大きくなるため、初心者は手を出しにくい投資物件と言えるかもしれません。
●メリット
複数の部屋を複数の人に貸し出すため、その合計金額は大きなものとなります。利回りも高い傾向にあるため、不動産投資でより利益を出したい、投資のみで生活したいと考えている方はこちらになるでしょう。
また、マンション一棟買いという事は土地ごと購入していることになりますから、資産価値としても評価が高くなりやすくなっています。年数の経過で建物の評価は下がっても土地の評価は下がりにくいため、その価値を長く維持することも可能になります。
マンション所有者であるオーナーが修繕のタイミングを決めることが出来るという事もメリット。大規模改修や改装を行うことで、建物全体の維持や向上も図れます。宅配ボックス設置やオートロック化、ペット飼育可にするなど、時代にあった付加価値をつけることでさらなる資産価値の維持も望めるでしょう。
●デメリット
やはり初期投資額が非常に高くなることが挙げられます。東京都内であれば、最低でも1億円以上の自己資金を用意しなければなりません。ほとんどのケースは金融機関から借り入れる形になり、もし経営が失敗した際にはその負債額も大きくなります。
部屋数が多い分、収入がゼロになる空室リスクは低いのですが、地震や台風、火災などでマンションが半壊、全壊になった場合など、リスクが全くないとは言い切れません。マンションの周囲の環境が変化するなどのリスクを分散できないということも大きなデメリットで、それらのリスクを避けるために複数のマンションを一棟買いする、というのも投資金額から見てもあまり現実的ではありません。
中古マンションであれば新築のものより手頃に購入できると思いがちですが、3割ほどの頭金を用意しなければならないものが多いため、初期費用節約の方法としては良い手にはならないでしょう。たとえ初期投資額が抑えられたとしても、築年数が高いものほど修繕費などがかかりやすくなるので、結果的に新築や築浅物件とそれほど差がなかった、などという事も考えられます。
その上、流動性が低く買い手が見つかりにくいため、容易に売却できない可能性も否めませんし、固定資産税や都市計画税、損害保険料も大きな負担となりがちです。
これらのことから初心者には不向きですし、同時に手も出しにくい投資額でもあるため、一棟マンション投資は上級者向けと考えたほうが無難かもしれません。
2. アパート投資のケース
アパート投資は、アパート一棟を購入してそれぞれの部屋を第三者に貸し出す方法になります。
マンションよりも規模が小さいため、一棟マンション投資のメリットもデメリットも縮小したようなものになります。
●メリット
マンションよりも建て替えが容易であるものが多いため、新築を建てるのであればオーナー自らが間取りや設備を決められることが出来ます。時代の流れやニーズに合わることも可能ですので、入居者を集めやすい傾向にあると言えます。アパートの家賃は控えめなものが多いものの、新築ならば高い家賃設定も可能です。
たとえ築年数の経過とともに建物の価値がなくなっても、土地の価値はある程度維持できますから、資産として手元に残すこともできるでしょう。
●デメリット
アパート投資は特に土地の選定が重要になりますが、都心部の駅周辺などの立地が良く需要が高いエリアには次々とマンションが建てられるため、アパートはそれ以外の条件に恵まれていない場所に建てられることがほとんどです。そのような場所では家賃が安くても人の出入りが激しかったりと、満室状態を保ちにくい状態になっています。
また、建築構造もマンションと大きな差があるのが現状です。
木造で造られることの多いアパートは、鉄筋コンクリートで建てられたマンションよりも音が響きやすいため、騒音トラブルが発生するリスクが非常に高くなっています。アパート管理まで自分で行うつもりであれば、発生するトラブルの対処もしなければならないことを忘れてはいけません。
同じように建築素材が違うのであれば耐久性も変化してきます。経年劣化による建物の老朽化は不動産投資には避けて通ることが出来ないものですが、構造上から見てもアパートのほうがマンションよりも寿命が短いのは紛れもない事実です。老朽化が進めば入居希望者も減り、入居者を確保するために家賃を避けざるを得ない状況になるでしょう。
建て替えを行えばそれらを避けることは可能ですが、安定した収入のために数年ごとに大きな出費となる建て替えを実施しなければならないというのも、アパート投資の難しいポイントなのです。
そもそもアパートは、最初から自分が所有している土地に建てられるケースが多くなっています。そのような場合は、本当に入居者の需要が見込める土地かどうかを見極める必要があるでしょう。そのような点から、こちらも不動産投資初心者にはあまり向いていないようです。
3. 戸建て投資のケース
所有している戸建て(一軒家)を土地ごと第三者に貸し出し、家賃収入を得る形になります。
マンションよりも自由度がかなり高く、幅はありますが中古戸建であれば比較的低予算で開始できるのがポイントです。
●メリット
最大のメリットはやはり初期投資額が抑えられること。
築年数が高いものであれば500万以下で購入することも可能です。地方ではさらに安いものも存在しますので、そちらを現金で購入することが出来れば、ローンに悩まされることは一切ありません。ローン返済がなければたとえ入居者が思うように入らなくても、気持ち的にだいぶ楽でしょう。
戸建物件を賃貸するのはファミリー世帯が中心になります。中には転勤族の家庭もあるでしょうが、ほとんどが子供の転校による支障を考え、一度入居するとそのまま長期に渡って住み続けるパターンがほとんどです。そのため長期に渡り安定した家賃収入を得ることができますし、入退去が少ない分退去時のリフォーム回数も抑えることが可能です。
マンションと比べますと共用部分が存在しないため、住民同士のトラブルも控えめ。修繕積立金及び管理組合費もないので、たとえ空室でも金銭的負担もないですし、自由にリノベーションや修繕をすることが可能なのです。
●デメリット
ターゲットはファミリー層と前述しましたが、こちらはネックにもなり得ます。
引っ越しは子供の入学や進学に合わせることが大半なため、ピークの1~3月を逃してしまうと次の入居者がなかなか見つかりにくい傾向にあるのです。転勤族の場合もタイミングはほぼ同じですので、住民の退去が決定したらできるだけ早い時期からの募集を開始する必要があるでしょう。
さらに、管理組合費などの経費は抑えられるのですが、修繕や改修を一切行わなくても良いというわけではないので、リフォーム費や修繕費が急に必要になることもあります。床面積や部屋数がマンションよりも多く、延床面積も大きく、外装・塀のメンテナンスや庭の手入れなども要するため、リフォーム費用が大きくなりやすいこともデメリットに挙げられます。その上、どのタイミングでどこの修繕を行えばよいのか自分で判断しなければならないため、経験も重要になるでしょう。
また、戸建投資では単世帯分しか家賃が入りません。収入を増やしたいのであれば複数の物件を保有する必要があるのですが、維持管理はマンション以上にかかるため効率が良いとは言いにくいです。
4. ワンルームマンション投資のケース
ワンルームマンションの一室あるいは複数を所有し、賃貸として家賃を得る投資方法です。
一棟マンション投資よりも初期費用を抑えられ、戸建よりも自己管理を必要としないため、難易度は低めになっています。
●メリット
ワンルームマンションは駅前など立地条件が非常に良いところに建てられていることが多いです。とくに単身世帯をターゲットとしており、この世帯は特に住み心地より利便性を重視する傾向にあるため、好立地のマンションは特に需要が高く、入居者が決まりやすいのもメリットでしょう。
不動産投資の成功失敗は立地によって大きく左右されるほど。駅から離れた場所や郊外に建てられることが多いアパートや戸建てに比べても、良い条件の物件も探しやすくなっています。
そして、一棟マンション投資よりも少ない資金でスタートできるのもポイント。多額の借入金を必要とする一棟マンション投資よりも圧倒的に負担は軽く、物件次第では自己資金のみで購入することもできます。修繕積立金・管理組合費は支払い続ける必要はあるものの、ローンを完済すれば入居者がいる限りは安定した収入を得ることが可能。ローンの返済を早めに済ませることで、家賃収入を年金代わりや足しにすることもできるでしょう。
将来的にどの程度の収入を希望するかによって保有部屋数を調整することも容易ですし、同時に複数の部屋を保有することで空室リスクの回避にもつながるのです。
複数の部屋を保有、というと維持管理の負担も気になるところですが、ワンルームマンション投資は区分所有になるため、マンション全体の管理業務を行う必要はありません。大抵のことは管理会社に任せる形になりますので、部屋のオーナーがすることはほとんどないと言えます。そのため、複数の不動産を持つこともさほど難しくはありませんし、サラリーマンにも副業として運用しやすいと言えるのです。
●デメリット
ワンルームマンション投資最大のデメリットになりうるのは、やはり空室リスクです。
住民が退去した後、次の借主が決定するまでの期間は空室となり、収入を得ることが出来ません。一棟マンション投資であれば他の部屋からの家賃収入でまかなうこともできるでしょうが、一室しか保有していない場合は収入はゼロになってしまいます。その状態でもマンションの管理維持費や修繕管理費の徴収はありますし、ローンが残っていれば支払いも行わなければならないので、空室の期間が長期になるほど経済的な負担は大きくなるでしょう。
同時に、保有部屋数が少なければ地震や洪水などの災害リスク、火事などの人災リスクも大きくなることも忘れてはいけません。周囲の家賃相場が下がっていれば、それに合わせて家賃を下げざるを得なくなったり、リフォームやリノベーションなどの自由度も低かったりと、区分所有だからこその悩みもデメリットと言えるかもしれません。
5. 投資初心者におすすめなのはワンルームマンション投資
どの投資スタイルにもメリットやデメリットがありますので、どれが正解か言い切るのは難しいです。
ですが、不動産投資初心者の入り口として考えますと、やはりワンルームマンション投資がおすすめになります。
ワンルームマンションは需要が大きく、初期投資額も抑えることが可能な上に手間も少ないため、初心者にはハードルが低いものとなっているからです。いきなり一棟マンション投資で巨大なリスクを背負いながら大きなリターンを狙うより、リターンは少なくてもリスクが小さめな小規模物件で経験を重ねていくほうが無難でしょう。
このようなことから、まずはワンルームマンション投資が初心者におすすめと言えるのです。
もちろん“投資”である以上、失敗をする可能性がないとも言い切れませんので、目の前の利益だけを見ることはせずに、しっかりと計画や対策を検討した後に、総合的かつ長い目で物件選びをすることが重要なのです。
小雪