不動産投資を始めるのであれば、まず投資の対象となる物件を購入する必要があります。
でも、投資物件とひとくちに言っても様々な種類があるため、どれを購入すればよいのかよくわからないというかたも多いのではないでしょうか。

ここでは投資物件の種類と築年数、そこから見たそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。



目次
1. 投資物件の種類
2. 投資物件は新築か?中古か?
3. 自分のスタイルに合わせた選択を

1. 投資物件の種類


不動産投資は大きく分けると、「区分投資」、「1棟投資」、「戸建て投資」の3種類になります。
それぞれの特徴とメリットデメリットをまず確認しておきましょう。


■区分投資
分譲マンションなど1棟のうちの1部屋を購入し、賃貸物件として貸し出して家賃収入を得る投資方法で、よく耳にする「ワンルームマンション投資」などもこちらになります。
1室のみを所有することもあれば、複数の部屋を所有するケースもあったりと、幅広い運用が可能の投資方法です。

・区分投資のメリット
不動産投資の中でも初期投資額が比較的少額なため、不動産投資用ローンの借入金額が抑えられつつ審査も通りやすいことが挙げられます。
売却の際にも1室という単位になりますから、買手がつきやすい傾向があることもメリットになるでしょう。

・投資区分のデメリット
空室になってしまった際に、収入がゼロになる可能性が高いのが最大のデメリットです。1棟投資であれば1、2部屋に空きが出来ても他の部屋からの収入でカバーすることもできますが、区分投資の場合は1部屋にかかる比重が大きいため、空室リスクの最も高い投資方法といえます。


■1棟投資
マンションやアパートなどを土地ごと1棟すべてを購入し、それぞれの部屋を賃貸物件として第三者に貸し出す投資スタイルになります。
かつては不動産投資と言えばこの1棟投資がスタンダードなスタイルでした。

・1棟投資のメリット
部屋数が増えれば増えるほど、家賃収入の額が大きくなるという点です。
同じ理由で区分投資よりも空室リスクに強く、少数であれば空室が出たとしても収益に甚大な被害を与えるということもありません。
また、土地も建物も自分の持ち物になるため、修繕の決定権や管理方法など自由度が高いのもメリットになります。

・1棟投資のデメリット
物件自体の価格が高額なため、とにかく初期投資額が膨大になることでしょう。億単位になることもめずらしくないため、月々の返済額が高額になることは間違いありません。
出口戦略としても、高額である上に買手が投資家などに限定されてしまうため、いざ売りたいと思っても簡単に買手が見つかりにくいという点も考えられます。




■戸建て投資
マンションやアパートではなく一戸建てを購入して、賃貸物件として運営する形になります。
戸建ては駅からやや離れた住宅街にあることがほとんどで、マンションなどよりゆったりとした広さで建てられているため、入居者は主にファミリー層が中心です。

・戸建て投資のメリット
中古の一戸建てを買うのが一般的ですが、投資を目的とした価格設定になっていない物件が多く、場合によっては数百万円であったりとローンを組まずに現金で買える物件も少なくありません。上手に経営すれば高利回りも期待できるでしょう。
また、メインターゲットがファミリー層であり、子供の教育関係を重視する傾向が見られる層でもあることから、比較的長期間入居で収入が安定しやすいという点もメリットとなります。

・戸建て投資のデメリット
長期間入居になりやすいということは、逆を返せば頻繁に移動を行わない層ともいえるため、条件やタイミングが悪ければ空室が長く続いてしまうリスクがあるということになります。さらに、区分投資と同じく1軒にかかる比重が大きく、複数所有でない限りは空室の際の負担も大きくなってしまうのです。
その上、一戸建ては木造であることが多く、傷みやすいため修繕費がかかりやすいこともデメリットでしょう。


2. 投資物件は新築か?中古か?


投資物件選びの際にもうひとつポイントになるのが、新築を購入するか、中古を購入するかということです。
どちらにもメリットとデメリットが存在していますので、どのような違いがあるのか比較をしてみましょう。


■新築物件
新築物件とは、「工事完了から1年以内かつ、未入居である」物件を指します。
未入居の状態でも1年を経過してしまえば新築とは認められませんし、1年以内の新しい建物であったとしても1度、1日でも入居者が存在したのであればそれは中古物件となるのです。

・新築物件のメリット
投資用物件として新築を選択した場合のメリットとしては、まず入居率の高さと言えるでしょう。特に日本人は新築信仰と言われるほど新品を好むため、新築というだけでたとえ家賃がやや高めに設定したとしても入居を希望する人もいるほどです。設備も真新しく最新のものが揃っていることがほとんどで、たとえ初期の修繕費がかかったとしても少額で済むこともメリットになります。
また、新築は「長い期間、安定した家賃収入が見込める」と評価されやすいため、金融機関から良い条件で融資が受けやすいというのも挙げられるでしょう。

・新築物件のデメリット
とにかく高額であることになります。そもそも新築物件には「新築プレミアム」というものが存在しており、1~3割ほど価格の上乗せがされているのです。同じように新築プレミアム価格として最初の入居者の家賃は高めに設定はできるでしょうが、2人目以降は新築ではなくなるため家賃を下げざるを得なくなります。
購入価格が高いということは、利回りが低くなりがちなこともこちらに含まれるでしょう。


■中古物件
過去に人が居住したことがある住宅はすべて中古物件となります。
築年数が1年以上で誰も住んだことがない住宅を“新古物件”と呼ぶケースもあるようですが、表現の問題であり正確には中古物件に含まれるものです。

・中古物件のメリット
なによりも購入価格が低いことです。初期投資額が抑えられるということは、利回りが高くなるということ。中古でも比較的新しい物件であれば家賃設定を高くすることが可能ですし、もちろん新築で購入するよりも購入価格を抑えることができるでしょう。高い利回りで運用していくこともできるのです。
入居者が入ったまま売却されたオーナーチェンジ物件であれば、引き渡しを受けたその月から家賃収入を得ることも不可能ではありません。

・中古物件のデメリット
新築物件と真逆となり、室内や設備が古くなっているため入居希望者が少なく、家賃設定を下げても空室に悩まされることも珍しくないでしょう。築年数が高いものですと場合によっては購入直後から高額な修繕費が必要になることもあります。建物の精査は購入前には必須とも言えるかもしれません。
さらに、新築と比べると中古は建物の評価が低くなるため、ローンが組みにくいというデメリットも。最近では条件によってはある程度組みやすくなってはいるものの、やはり注意しなくてはならないポイントとなっております。




3. 自分のスタイルに合わせた選択を


不動産投資には様々な種類があり、その上で新築と中古の選択もあり、それぞれにメリットとデメリットが存在しています。
そのため、自分が不動産投資に何を求めているのか、現状のライフスタイルと今後の人生設計にあわせて選ぶことが重要となっているのです。

不動産投資の経験がすでにあり、資産に余裕があるのならば1棟買いを選択するのも手でしょう。
あくまでも不動産投資は副業として捉えている、または不動産投資家としての第1歩としての購入であれば、区分投資や戸建て投資も良いかもしれません。
そこから新築・中古のメリット・デメリットを踏まえたうえで、自分に合った最適なものを選択してください。

小雪