不動産投資をはじめとした資産運用を考えたことがある方なら、おそらく「インカムゲイン」や「キャピタルゲイン」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?ゲイン(gain)という言葉は英語で“利益、もうけ”を意味し、どちらも資産運用で得られるリターンを指している言葉ではあるのですが、両者の違いがよくわからないという方は意外と多いものです。

そこで今回はインカムゲインとキャピタルゲインの違いから、それぞれのメリットとデメリット、さらには不動産投資ではどちらを選べばよいのかまでを解説していきます。



目次
1. インカムゲインとは
2. キャピタルゲインとは
3. 不動産投資から見たインカムゲインとキャピタルゲイン
4. 最終的な目的にあわせた選択を

1. インカムゲインとは


インカムゲイン(income gain)とは“定期的な収入”という意味があり、不動産投資におけるインカムゲインとは投資物件から毎月得られる家賃収入に相当します。物件からだけではなく、駐車場やレンタルスペースの貸し出し、民泊施設の経営などで得られる収入もこちらに含まれるでしょう。


■インカムゲインのメリット
資産を保有している限り継続して収入が得られるというのがインカムゲインの特徴で、投資元本が減りづらいため比較的安全性が高くなっています。不動産投資であれば、入居者がいる限り収入を得ることができるのです。
一度に大きい利益は見込めないものの、資産として不動産を所有したまま利益が得られるのが、インカムゲイン最大のメリットなのです。


■インカムゲインのデメリット
安定収入がメリットとは言いましたが、不動産投資の場合は入居者がいなければ当然収入を得ることはできません。
また、インカムゲインは長期的な投資方法であるため、何年もかけて投資を行うことが前提となっております。利益を得るためには時間がかかり、とにかく長い目で見なくてはならないのです。
さらに不動産経営には維持管理費などはもちろん、固定資産税や都市計画税といった税金、それらに伴った手数料など様々な経費が必要となるため、全体的な収益がわかりにくいというデメリットも存在しています。実際には利益が出ていなかったというケースもありますので、収支管理をきっちりと行う必要があるでしょう。




2. キャピタルゲインとは


キャピタルゲイン(Capital Gain)とは、「資産を売却することで得られる利益」になります。Capitalは“資本”という意味を持つ一方で、資金、元金の意味も含んでいます。つまり簡単に言ってしまえば“安く買って高く売ることで得られる利益”を指すと考えて良いでしょう。資産には土地や建物などの他、債権などの有価証券、貴金属、絵画なども含まれています。


■キャピタルゲインのメリット
インカムゲインと比較して、発生する利益が大きいことが挙げられます。
例えば100万円で購入した資産が倍の200万円で売却できれば、差額の100万円が利益として手に入ることになるのです。実際には手数料などで引かれてしまうものの、1度に手に入る金額が大きいのがキャピタルゲインの特徴になっています。特に不動産の売買によって動く額はかなり大きいため、場合によっては非常に大きな利益が得られる可能性があるのです。

なお、バブル時代は“土地の価格は必ず値上がりする”と考えられていたため、当時の不動産投資と言えばこちらのキャピタルゲインを期待したものが主流だったようです。


■キャピタルゲインのデメリット
利益が大きいとされる反面、その利益が確実に発生するかがわからないというのがキャピタルゲインを狙う際でのデメリットになります。不動産の場合は価格が下がるケースもめずらしくないため、大きな損失を被る可能性もあるのです。売却タイミングもいつでも良いというものではなく、不動産投資の際は特に“利益が出せる売却時期”を見定めなくてはなりませんので、「収益を得たい時に得られない」という事態もあるでしょう。
また、売却しない限り利益を得ることができないスタイルですので、ほとんどのケースでチャンスは1度限りであり、手元に資産が残らないのもデメリットと言えるかもしれません。




3. 不動産投資から見たインカムゲインとキャピタルゲイン


インカムゲインとキャピタルゲインの違いと、それぞれのメリット・デメリットまでを説明しましたが、不動産投資という投資スタイルから見た場合、どちらを狙ったほうがよいのでしょうか?


■インカムゲインの場合
上述した通り、不動産投資におけるインカムゲインは“家賃収入”にあたります。
そもそもインカムゲインの特徴が「長期的な安定収入」であるため、将来への備えとして不動産投資をしようと考えているのであればこちらがおすすめです。

ただし不動産投資の場合は、株式投資のように保有しているだけでインカムゲインがもらえるという性質ではないですし、空室が発生することによって家賃収入が得られないといったことも考えられます。そのため、複数の投資物件を所有するなどといったリスクを軽減させるための戦略も必須です。
安定した収益を得られるようになれば、キャピタルゲイン以上の利益を生み出し続けることもできるでしょう。


■キャピタルゲインの場合
不動産投資で大きな収益を短期間で得たいと考えている方は、こちらのキャピタルゲイン狙いになります。特に不動産投資は1度に動く金額が非常に大きいため、発生するキャピタルゲインも必然的に大きくなりやすいのです。

とはいえ、購入した価格よりも高く売らない限りキャピタルゲインは発生しません。不動産売買の際には誰もが「高く売りたい」と考えるものですが、キャピタルゲインを狙う場合は「高く売らなければならない」のです。十分な知識と正確な情報が得られるネットワークが構築されていないと非常に難しいため、こちらは熟練者向けであると言えます。
大きな利益が得られる一方で、大きな損失が発生するリスクもあるというかなりのハイリスクハイリターンのスタイルでありますので、不動産投資初心者は無理にキャピタルゲインを狙うのではなく、安定したインカムゲインも同時に狙ったほうが安心かもしれません。


4. 最終的な目的にあわせた選択を


インカムゲインにもキャピタルゲインにもどちらにもメリットがある一方で、インカムゲインにはリターンが小さく、キャピタルゲインだけを狙うには難易度が高いため、どちらかだけを選ぶというのはリスクを伴うかもしれません。このリスクを分散するという意味でも、両方をバランスよく狙うことが重要です。
特に不動産投資ですと、インカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)を1つの物件から両方得られるという特徴があります。インカムゲインに寄った物件、キャピタルゲインに向いた物件、さらには両方バランスの取れた物件も存在していますので、自分が投資に何を求めているのか理解した上でその目的に合った方法を選び、投資物件探しをしましょう。

小雪