不動産投資でマンションを選んだ場合、立地や周囲環境の他に選ばなくてはならないものがあります。
それは「高層階を選ぶか、低層階を選ぶか」。
中でも20階以上の階層を持つタワーマンションなどは特にその差が顕著で、階層で値段や需要に大きな差が発生しています。高層マンションの魅力は「お部屋からの眺望」と思われがちなため、「高層階を選んでおけば間違いない」と考えてしまいそうですが、実は一概にそうとも言えないのです。

そこで今回はマンション選びの際の参考になるよう、各階層の特徴とそれぞれのメリットデメリットをご紹介します。



目次
1. マンションの階層は不動産投資に影響するのか
2. マンションの高層階とは
3. マンションの低層階とは
4. 中層階という選択肢
5. メリットだけでなくデメリットにも注意

1. マンションの階層は不動産投資に影響するのか


同じマンションであったとしても、階層で価格に差があり、需要も大きく異なります。そのため、不動産投資においては重視すべきポイントになります。
マンションの中でも、特にタワーマンションと呼ばれるものは駅や大型商業施設直結であったりと非常に好立地に建てられているため、売買はもちろんのこと賃貸物件としても非常に根強い人気を持っていることは間違いありません。好立地であるということは資産価値が下落しにくく、場合によっては高騰が期待できるものもあるため、売却をして差額で利益を得るキャピタルゲインを期待して購入する不動産投資家もいるようです。

一般的に高層階であるほど価格が上がり、低層階であれば比較的リーズナブルな価格となっていることがほとんどで、分譲価格はおよそ4倍程度から10倍程度まで差があるマンションも存在しているほど。高層階は注目度がとにかく高く人気はあるものの、購入しようと思うなら多額の初期投資金が必要になります。その一方、低階層は窓からの眺望といった付加価値はありませんが、同じ好立地という条件の物件を手ごろな価格で購入することも可能なのです。

つまり、それぞれに特徴がありますので、どちらが良い、悪いとは簡単に言い切れないのが事実です。
自分の状況や予算、投資計画などを踏まえたうえで選択することが必要となります。


2. マンションの高層階とは


高層階は確かに人気がありますし、需要ももちろんあるのですが、やはりメリットだけではなくデメリットも存在していることは間違いありません。
まず高層階について見ていきましょう。


■高層階のメリット
高層マンションをイメージした際、まず頭に浮かぶのは眺望の良さでしょう。遮るものがほとんどない場所であれば採光も申し分なく、周囲の騒音も少なく外からの他人の視線を気にする必要もありません。さらに「マンションの高層階に住んでいる優越感」にも浸れることから、いつかは住んでみたいと考えている人が多くいることは間違いありません。

不動産投資としてのメリットももちろんあり、注目度が高く需要が高いということは、空室が発生して家賃収入を得ることが出来ないという“空室リスク”が発生する可能性が低いということです。そのような物件は家賃下落の危険も少ない上に資産価値も下がりにくいという傾向にあります。
以前よりも高層階と低層階の価格の差は縮まっているものの、高層階であれば高い価格で売却することができる可能性があるのです。


■高層階のデメリット
とにかく物件価格が高額になることがまずデメリットに挙げられます。
好立地であることはもちろんのこと、メリットでもある“眺望の良さ”が自慢であればあるほど価格は上昇します。物件価格が高くなれば、登記費用や不動産所得税といった初期費用も比例して高くなりますので、予算にかなりの余裕がない限り難しくなるでしょう。

また高層階に住むことならではのデメリットとして、遮るものがないため日差しが強く室温が上昇しやすいなどのほかに、地震の際には非常に揺れますので注意が必要です。中でもタワーマンションは制振や免振という構造を取り入れているため、揺れに耐えるのではなく「あえて揺らして地震の力を逃す」ため、長い時間揺れることは覚悟しなくてはなりません。




3. マンションの低層階とは


防犯性やプライバシー面に不安を持たれることの多い低層階ですが、地震などの災害発生や停電時などのトラブルを考慮し、好んで低階層を選ぶ人も増えているようです。


■低層階のメリット
間取りや広さが似たようなものであったとしても、低層階は高層階と比較すれば安めの傾向にあります。
眺望や日当たりなどはやはり劣ってしまうものの、立地や施設環境などは同じマンションであれば高層階も低層階も条件は変わりません。初期投資額を抑えたいと考えているのであれば、低層階を購入するメリットになり得るでしょう。

また、朝などの通勤時間帯はエレベーターの利用者が集中するため、待ち時間が発生しやすくなっています。タワーマンションならではでありデメリットでもあるこの問題ですが、階段で昇り降りできる低層階であれば、階段を利用するという選択肢もありますので、回避することが可能となるのです。
さらに災害などで停電が発生した場合、もしくはエレベーターの故障や点検中の際にも影響が比較的少ないのが低層階です。非常時には地上に出やすいのがメリットと言えます。


■低層階のデメリット
やはり眺望や日当たりなどは期待できません。地上までの距離が近いということは生活音や車、電車の騒音も届きやすくなっています。特にタワーマンションは駅直結や大きな幹線道路に面していることが多いため、場所によっては騒音対策が必要になるかもしれません。
同じ理由で、外からの視線が気になったりとプライバシーでの問題、窓から侵入しやすいためセキュリティー面の不安も挙げられるでしょう。




4. 中層階という選択肢


実は住む場所という観点からも、不動産投資という観点からも、中層階が狙い目となっております。
一定以上の高さで部屋であれば日当たりは問題ありませんし、眺望もある程度であれば期待することが可能です。騒音も低層階と比較すれば軽減されており、災害や停電でエレベーターが利用できない場合でも、階段の昇り降りは高層階ほど負担は大きくありません。低層階よりは物件価格はやや高くなりますが、高層階ほどではないため、月々の支払額も抑えることができるでしょう。

上の階と下の階に挟まれるため、生活音の問題から離れることはどうしてもできませんが、高層階と低層階のどちらのメリットを程よく叶えられる中層階が一番バランスがとれていると言っても間違いありません。
投資用の物件としてもバランスが良いため、投資するのであれば中層階が堅実で安心できるのではないでしょうか。


5. メリットだけでなくデメリットにも注意


ついついメリットばかりに目を惹かれてしまうマンションですが、それぞれの階層ごとに良い面があればもちろん悪い面も存在しています。そのため、イメージだけで購入を決めるのではなく、必ず違いをよく知り、メリットデメリットの両面を把握した上で購入を決定しなくてはなりません。
さらに不動産投資としてマンションを購入するのであれば、価格や利回りを意識するのはもちろんのこと、入居者が住みたいと思う部屋を見定める必要があるのです。特にマンション自体の立地や施設、設備は、高層階でも中層階でも低層階でも変わりありません。そして、それを理解して高層階以外を希望している人もけっして少なくはないのです。

購入階層に悩んでいるのであれば、ぜひ入居者が住みたいと思える物件を理解した上で探してみてがいかがでしょうか。

小雪