不動産投資は高額の買い物が必須になるため、始めたいの躊躇してしまっている方は少なくありません。
そして投資である以上、「こうすれば必ず成功する」という保証がないことも事実です。確かに、頻繁な空室の発生や想定外の修繕費などによる赤字、節税目的のはずが全く意味をなさなかった結果、「不動産投資に失敗してしまった」という話はよく聞く話でもあるでしょう。

しかしこのような失敗のほとんどは「投資物件選びを失敗している」からに他なりません。不動産投資は最初の物件選びが成否を左右していると言っても過言ではないからです。
そのため今回は、失敗しにくい投資用物件選びのポイントを解説とともにまとめてみました。



目次
1. いくつかの不動産会社に“良い物件候補”を紹介してもらう
2. 物件を消去法で絞る

1. いくつかの不動産会社に“良い物件候補”を紹介してもらう


まず不動産投資用の物件を購入しなければ始まらないわけですが、その「不動産情報をどこから得るか」です。インターネットから雑誌、街角の小さなお店まで情報はあちこちで見かけることはあるでしょう。

多くの場合は、投資用物件の情報は不動産会社からに得る形になります。
大型の不動産ポータルサイトで自力で探すという方法はありますが、“本当に良い物件”というものを不動産投資初心者が自力で見つけ出して購入するのは非常に難しいことであると考えたほうが良いかもしれません。不動産ポータルサイトに掲載しているのは不動産会社ですが、多くの不動産会社にはいわゆるお得意様と呼ばれる顧客がついています。本当に良い物件というものはまずそのような顧客に流れるため、初心者の目に触れることはないのです。
もちろん、絶対にないということはないかもしれません。ですが判断の早い不動産会社や熟練の不動産投資家によって即買付けが入れられるケースがほとんどであり、初心者がもし見つけても購入していい物件かどうか見極めようとしてるうちに取引が済んでしまうことがほとんどでしょう。


■不動産会社の探し方
はじめて不動産投資を始めるのであれば、懇意にしている不動産会社はありません。
物件を探す前に、まず不動産会社を探すところからスタートしましょう。探す場所は、大まかに分けると4か所存在しています。

・インターネット
一番簡単であり、最も気軽に情報を得られる方法になります。
誰でも見られるオープンなところから、登録者限定の会員型サイト、メルマガや動画などで配信を行っているところなど、多くの会社を見つけることができるでしょう。
ただ、インターネットの情報をそのまま鵜呑みにすることは避けたいところ。本当に信頼できそうな会社なのか、ある程度の時間をかけて見極める必要があります。

・書籍
雑誌や専門書などから情報を集める方法です。
書店の投資コーナーであれば、多くの書籍を見つけることができるでしょう。投資用物件の情報を得ることはもちろんのこと、不動産投資を始めるためにぜひとも押さえておきたい知識の掘り下げと漏れを埋めてくれるため、ぜひとも一度は読んでおきたいところかもしれません。

とはいえ、こちらもすべての内容が正しいというわけではないので、視野が狭くならないよう複数を読むことをおすすめします。



・紹介
すでに不動産投資を行っている親戚や知人に紹介してもらうの良い手かもしれません。
身の回りにいなければ、オンラインでのコミュニティに参加してみるという方法も。
こちらの場合も、その紹介相手がどれほど経験者であるのかどうかという問題がある上に、どこまで信頼できる関係性なのか、またはコミュニティの質もどれほどであるのか、注意しなくてはならないでしょう。

・歩いて探す
自宅や会社の周囲などの周囲の不動産会社を直接探すという手段です。
実際物件購入を行うのはもちろんのこと、購入後にも不動産会社には多く出向かうことになりますので、近ければ近いほど便利になります。
中には不動産投資用の物件を扱っていない、知識がそれほどないというケースもありますので、利用者の口コミや表難などを予め確認しておく必要があるかもしれません。


■信頼できる不動産会社の選び方
初心者不動産投資家を含め、一般的な人々にとって“不動産会社”は頻繁に向かう所ではないため、「選び方がよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。また、「少し怖い」というイメージを持っている方も少なからずいらっしゃることでしょう。事実、自社の売り上げだけを考えて悪質な手法を取っているようなところも存在しています。
そのため、しっかりと信頼することができる不動産会社を選ばなければなりません。

選ぶ基準として
・業歴が長い
・実績豊富
・金融機関との取引が多数
・レスポンスが早い
・メリットだけではなくデメリットも説明してくれる
・口コミや評判が良い

これらを条件を満たしているかどうかをしっかり確認し、不動産会社をある程度の数まで絞りましょう。この時点で1社のみまで選ぶ必要はありません。
心行くまで調べ、少しでも違和感を感じるようであれば避けたほうが良いでしょう。


■不動産仲介会社に直接訪問する
良いと思える不動産会社が絞れたら、実際に訪問することになります。
こちらが信用できる不動産会社なのか見定めようとするのと同時に、不動産会社側も「購入意思がある客なのか?」とうかがっています。本当に購入意思があるかどうか疑わしい相手に対して、“良い物件”を紹介したいと思うでしょうか?より「物件をぜひ買いたい!」という言う意志がある相手にこそ売りたいと考えるはずです。

購入意思と併せて、目的と希望なども伝えましょう。そうすることでどのような物件を求めているのか理解してもらえるのとともに、相手に「こういう物件を探しているお客さんがいる」という印象を残すこともできるからです。

これを数回繰り返すことで、物件情報を集めることが可能となるのです。




2. 物件を消去法で絞る


ここからようやく物件選びが始まります。集まった物件情報の中から最適なものを見つけなくてはならないのですが、その前にワンクッションとして「購入を避けたい物件」を除外し、物件を絞り込んでいきます。
今回購入を検討しているものは居住用ではなく“投資用物件”です。不動産投資という視点から見て、儲けが出ないとほぼ確定しているような物件は省かなくてはならないからです。

投資用物件として選ぶ際に避けたい条件は、こちらです。


■政令都市周辺エリア以外
都市部から離れた地方の物件は比較的低価格ものが多くなっていますが、購入候補からは除外します。不動産投資の収入は入居者からの家賃収入です。つまり、入居者がいなければ投資は成り立ちません。地方は人口密度が低いため賃貸の需要が低く、空室のリスクが非常に高いのです。東京や名古屋、大阪といった三大都市圏、横浜市やさいたま市、神戸市などといった政令指定都市周辺エリア以外は避けたほうが安心でしょう。

郊外であっても大学の近隣であれば需要は見込めます。が、少子化による学生の減少、それに伴った大学の撤退やキャンパスの移転なども近年では多いため、1か所の大学のみをターゲットとすることはやや危険と言えるかもしれません。


■違法建築物
違法建築はその名が示している通り、建築基準法や条例に違反して建てられた物件になります。
このような物件は金融機関からの融資が受けにくい、もしできても高金利であるほか、売却も困難であったり、さらには後々行政から指導が入り使用制限がかかる可能性もゼロではありません。不動産市場で「高利回り物件」として低価格で取引されていることもありますので注意が必要です。
法の規定に適合していると確認されて交付された“建築確認済証”が出ているかどうかを確認し、ないようであればその物件は候補から除外しましょう。


■事故物件
事故物件とは、不動産業界では「心理的瑕疵物件」と呼ばれています。様々な理由がありますが、代表的なものでは殺人事件や事故、自殺や孤独死、火災などのあった物件を指します。このような物件は瑕疵があるという理由から非常に格安であり、利回りが高い傾向が見られます。宅地建築取引業法によって入居者への告知義務があり、これを怠った場合は訴えられるというリスクがありますので告知しないという選択肢は存在していません。

あらゆる中でも殺人事件が過去にあった物件は、入居者が見つかりにくいだけではなく価値も大幅に激減するため、確実に避けたいところです。とはいえ、自殺や孤独死など心理的瑕疵の度合いがそれほど高いものではないのであれば、家賃を相場よりも下げる、リノベーション工事を行うなどといった対応でカバーできることもあります。お得であれば多少の問題は気にしない人もいますので、程度によっては絶対に購入してはいけないというものではありません。


後編では、絞った候補の中からいよいよ購入する物件を選び出す方法をご説明します。

小雪