不動産投資を含めた“投資”は「主に男性がやるもの」と思っている方も多いのではないでしょうか。
近年、20代30代といった若い世代の女性が不動産投資を始めるケースが増加傾向にあります。ですが中には、リスクを伴う投資よりも、しっかりと貯蓄をしておいたほうが安心かもしれないと、不動産投資に興味はあってもなかなか手を出せない女性もいらっしゃるかもしれません。

多くの資産運用が存在している中で、なぜ多くの女性に不動産投資が注目されているのでしょうか?
今回はその理由から、女性が不動産投資に向いているといわれている訳、女性ならではの強みや失敗しないためのポイントまでをご紹介します。



目次
1. 女性が抱える将来の不安とは
2. 不動産投資が女性に向いている理由
3. 女性ならではの不動産投資の強みとは?
4. 女性が気を付けるべき失敗しないためのポイント
5. まとめ

1. 女性が抱える将来の不安とは


将来への不安は、性別を問わずに存在しているものです。
しかし社会では女性ならではの悩みがあることも事実。まずはどのようなものがあるのか見ていきましょう。


■老後資金問題と長寿
日本人女性の平均寿命は年々伸びています。厚生労働省の調べによると2019年の女性の平均寿命は87.45歳であり、前年の2018年と比較しても0.13年を上回っていることがわかりました。2019年の男性の平均寿命は81.41歳ですから、女性は男性よりも約6年ほど長生きをする可能性が高いのです。
もちろん寿命が長いということ自体はけっして悪いことではないでしょう。しかし生きていくためにはお金が必要なのは当然のことであり、男性よりも平均寿命が長い女性はその分だけ老後資金を多く蓄えておかなければなりません。
不安自体は性別を問わず感じるものですが、このようなことから女性は老後に対して不安を抱えやすい傾向がみられるのです。


■晩婚化と未婚率
社会現象のひとつと言えるのが「晩婚化」と「未婚率」。これは女性だけに限った話ではなく男性も同じなのですが、これらの大きな要因として挙げられるのが「価値観の変化」と「経済的な理由」です。かつては「女性は結婚して子供を産み育てるのが幸せ」という価値観が一般的であり、たとえそれまで仕事をしていたとしても結婚を機に仕事を辞め、家庭へ入るのが当然と言われていました。

しかし近年では働く女性はめずらしいものではなく、社会的地位も昔よりは向上し、様々な場面で活躍する女性も増加しています。経済的に自立できるようになった結果、結婚に必要性を感じないまたは急がなくても問題ないという考えに至り、それが晩婚化と未婚率の上昇につながっているといえるのです。


■資金格差
経済的に自立した女性が増えたと上述しましたが、やはり男女間での資金格差は今も存在しており根深い問題となっているのが現実です。1990年ごろまで女性の平均給与は男性の60%前後であり、その差を埋めようと努力が続けられているようですが、現在でも75%程度にとどまっています。また、パートやアルバイトなどといった非正規の雇用形態で働いているのも女性のほうが多く、その給料自体も男性よりも低かったりと、格差が完全に埋まる兆候も見られません。非正規雇用が多く、それに伴って賃金の絶対額が少なければ、比例して公的年金受給額も少なくなるという状況にも追い込まれているのです。

このようなことから、女性が老後の不安を完全に解消することは難しい問題となっています。
老後資金に対する不安を払拭するため、安定した収入を目指して“不動産投資”に目が向けられているのでしょう。




2. 不動産投資が女性に向いている理由


様々な投資がある中で、不動産投資が女性に向いていると言われる理由はこちらになります。


■働けない期間の収入のカバー
女性には出産・子育てなどといった「働けなくなる期間」が存在しています。男性の育児休暇の積極的な取得に向けて様々な取り組みが行われているものの、今でもほとんどが女性主体になっていることは否めません。
不動産投資は管理業者に委託することも可能であり、ほとんど手をかけることなく安定した収入を得ることが出来ます。出産や育児で他に手が回らないときはもちろん、たとえ復職したとしても負担は大きくないでしょう。


■長寿リスク対策
女性のほうが寿命が長いためより多くの老後資金が必要なこと、公的年金も男性と比較すると少ない傾向にあることなどはお伝えした通りです。
不動産投資は株式やFXなどよりも長期の投資になり、すぐに大きな利益を得られることができない反面、長い期間にわたって収入を得ることが出来ます。ローンの支払いが完済すれば家賃収入の利益はそのままオーナーの手元に入りますから、私的年金代わりにすることもできるでしょう。老後の不安を解消するには、まさにぴったりの投資と言えるのです。


■公庫による融資制度の存在
不動産投資は融資を受けて物件を購入し、その物件から得られる家賃収入でローンを返済する、という形が一般的になっています。基本的に銀行などといった民間の金融機関から借り入れるケースがほとんどですが、実は日本政府が出資する株式会社“日本政策金融公庫”を利用することも可能です。
公庫は「社会的弱者を救助する」という目的を有しており、“女性・若者・シニアが社会進出するための支援”を行っています。女性であれば年齢制限がありませんので、公庫から融資を受けるいう選択肢が存在しているのです。

こちらには条件として、新たに事業を始める、または事業開始後7年以内である、融資限度額は7,200万円、返済期間が短いなどというものがありますが、民間の金融機関よりも低金利で融資が受けられるのは非常に大きなメリットとなっております。


■投資にかけられる時間の長さ
働く女性は増えている一方で、家事や子育てに費やされている時間は男性より女性のほうが圧倒的に長いという傾向は今でも見られています。自分の時間が少なければどうしても投資にかけられる時間も短くなるため、知識量が重要な投資や多くの手間がかかる投資をすることは難しいかもしれません。

賃貸物件の運用でも手間は必要としますが、専門の管理会社に委託することでその手間を省くことができるのです。もちろん委託管理費などは必要となるものの、他の投資などと比較すればさほど手間と時間をかけずに安定した収入を得ることができるでしょう。




3. 女性ならではの不動産投資の強みとは?


女性には男性にはない女性ならではの特徴があり、それが不動産投資を行う際での強みとなります。
どのような特徴と強みがあるのでしょうか?


■目線の違い
不動産投資の成功を左右するのは、立地が非常に大きなものとなっています。
通勤の利便性などはもちろん重要ではありますが、女性はさらに日当たりや通気性、設備の状態、水回りの使いやすさなど、男性には気づきにくい細部まで気が付く傾向がみられるのです。1人暮らし・ファミリー世帯を問わず日々の買い物を行うのは女性が多いことから周囲の買い物環境も重視しますし、治安状態やセキュリティ関係を気にするのも特に女性が多くなっています。

このような女性目線の物件は同性である女性が魅力的に感じるだけでなく、男性にもとっても魅力的に感じやすくなっているようです。そのため、空室が出たとしても比較的入居者が見つかりやすいという、空室リスクに強い賃貸経営が期待できるでしょう。


■慎重な思考による判断
これは個人差が非常に大きいため一概には言えないのですが、男性よりも女性のほうがお金に対して保守的であり、コツコツとした貯金が得意な傾向が見られます。「楽して大金を稼ぎたい」という野心から投資を始めるという人は少なく、今の生活や老後の不安解消のために投資を考える人が多いのではないでしょうか。
そのため、FXや仮想通貨などといったハイリスクハイリターンの投資より、ミドルリスクミドルリターンの不動産投資を選ぶ女性が多いのです。
不動産投資は株式やFXとは違い、投資先の変更や売却を気軽に行うことができません。ですので投資先にあたる不動産選びが特に重要となるのですが、女性はその慎重さを最後まで崩さないケースが多いようです。物事を慎重に判断できる思考力が、不動産投資に向いてると言えるのでしょう。
ただし、売り時や買い時を見逃してしまうなど、決断力にやや欠ける面もあるためその点には注意が必要です。



■コミュニケーション能力の高さ
意外に思われることも少なくないですが、不動産投資では他者との関わりが必要不可欠なものとなっています。入居者はもちろんのこと、管理会社や管理組合、自治会、他の大家との交流など、様々な場面で接する場面があるでしょう。
人付き合いが得意な男性はもちろん多いものの、コミュニケーション能力は総じて女性のほうが高く、言葉選びや気遣いなど、女性ならではの細やかな心配りが良好な関係を築きやすくなっているのです。


4. 女性が気を付けるべき失敗しないためのポイント


女性だからといって、不動産投資が必ず成功するという保証はもちろんありません。
どのようなポイントに気を付ければ良いのでしょうか?


■投資物件のスペックを重視しすぎない
女性の選ぶ物件は失敗する確率が低いとお伝えしましたが、物件のスペックにこだわりすぎて失敗してしまうというパターンが存在しています。
例えば、オシャレなほうが良いからと内装にこだわりすぎて利回りを妥協してしまうケース。当然見た目が良い物件は入居者からは好まれますが、利回りが低ければ本来の目的であるはずの利益を得ることができません。また、自分が住むならこの程度は欲しいと、最新の設備にリフォームをしてしまうケースもあります。こちらも利回りを下げる一因となるため、自分が住むことを前提としないほうが良いでしょう。
不動産投資は物件の購入や入居者が決まった時点で終了ではありません。長い運営を続けたいのであれば妥協しても良い場所は妥協するなど、全体的なバランスを見ることも重要なのです。


■雇用形態による個人信用の差
女性は結婚、出産、育児など、大きなイベントが発生するごとにライフスタイルも変化しやすいものです。そのため正社員よりも時間が取りやすい働き方を選んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。不動産投資のように融資を必要とする投資を選ぶのであれば、正社員として働いていたほうが良いかもしれません。

不動産投資ローンを受けるには、審査を受けることになります。この審査では物件の収益性が重要と言われているものの、契約者の収入や勤め先といった個人信用も当然審査されるのです。
一般的に正社員のほうが審査が通りやすく、条件も有利になるケースが多いとされています。たとえ公庫から融資を受けることを考えていたとしても当然審査はありますので、可能であれば出来るだけ本人属性が高めておいたほうが安心できるでしょう。


■配偶者の協力を得る
独身ではなく既婚者であるならば、配偶者にはしっかりとした説明ののちに理解を得ておきたいところです。
急な対応が必要となった時にはサポートとして任せられますし、1人では気づきにくい事に気づいたり、時には意見を求めることも可能だったりと、効率的に不動産投資を進めるための強力な味方となってくれるでしょう。

また、共同名義で資金調達をすることで、手が届かなかった物件も購入することも可能になります。
もちろん共同名義ならではのデメリットもあるため利用するのであれば十分な検討が必須となるものの、選択肢として覚えておくのも良いかもしれません。


■育児休暇制度の有無
こちらも個人信用に関わりますが、可能であれば育児休暇制度が充実した環境で働くことをおすすめします。
女性はどうしても出産や育児で働けなくなる期間が存在しています。一時的に離職し、子供の手が離れてから再就職するという方も多いですが、やはり勤続年数が短くなるということは融資を受ける際に不利になりやすいのです。
育児休暇制度が充実している会社であれば、勤続年数を途切れさせることなく働き続けることが出来ますので、不動産投資を視野に入れている方は注意したいところです。


5. まとめ


男性と比較してライフスタイルの変化が激しい女性は全体的な収入が少ないこと、老後期間が長くその対策として資金がより多く必要になることや、それらを解消するためには不動産投資が良いこと、女性ならではの利点や問題点などがあることまでをご説明しました。

早めに資金形成を始めることによって、老後の不安が解消できることがわかりましたでしょうか。今の生活ももちろん大切なものですが、将来で安心して生活が出来るよう、不動産投資を始めてみることをおすすめします。

小雪