不動産投資成功のカギとなるのは、投資物件を購入するエリア選択にかかっていると言っても過言ではありません。そんな時に気になるのが、毎年発表される「住みたい街ランキング」や「都道府県魅力度ランキング」といった様々なランキングです。このようなランキングは、投資物件を購入する際に参考にしても良いのでしょうか?
今回はこういったランキングの見方と、本当に投資物件購入時に参考になるのかどうかを考えてみます。



目次
1. 不動産投資と都道府県魅力度ランキング
2. 住みたい街ランキング上位は本当に住みたい街なのか
3. ランキングの基準は様々
4. 投資物件購入時に参考にできるのか

1. 不動産投資と都道府県魅力度ランキング


都道府県魅力度ランキングとは、株式会社ブランド総合研究所にが2006年から毎年実施しているもので、全47都道府県と国内1000の市区町村を対象に、全国の消費者の回答を得て集計したものになります。このランキングは世間の注目度も非常に高く、公開されるや否や多くのメディアに取り上げられるほどです。

ただし、この都道府県魅力度ランキングは「その都道府県に対して“魅力”を感じるか」であり、実際の住み心地や環境などはほとんど考慮されていません。調査項目の中には“居住意欲度”などもありますが、魅力度ランキングの場合はどちらかと言えばその都道府県に対してのイメージによるものが強い傾向が見られるのです。

実際のところはどうなのか考えてみましょう。東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の一都三県のうち、埼玉県の魅力度ランキングは低く、毎年下位に名を連ねています。しかし、総務省統計局が発表した昨年の転入超過数は東京都・神奈川県に次いで埼玉県は3番目であり、不動産市場で見れば人気のエリアであると考えて間違いありません。
このように魅力度ランキングと不動産市場の人気は相反していることから、立地選択の判断材料として利用することはできないのです。


2. 住みたい街ランキング上位は本当に住みたい街なのか


不動産投資の立地選択時に気になるのは、やはり「住みたい街ランキング」です。この住みたい街ランキングといえば、関東圏では横浜、吉祥寺、恵比寿などがまず思い浮かぶのではないでしょうか。
実際にランキングの上位常連でもあるこれらの街は、確かに交通利便性が高くおしゃれな街として人気が高いことは事実になります。しかし上位を獲得し続ければ続けるほど、人々の中に「住みたい街ランキング上位の街」としての“イメージ”が根付いてしまうことは容易に想像ができるでしょう。

都道府県魅力度ランキングと同じように、イメージが刷り込まれてしまえばどうしても上位に挙がってきてしまいます。知名度が低くあまり知られていない街の名前は挙がりにくく、知名度が高く有名な街の名前ほど挙がりやすいのは、ある意味当然のことかもしれません。




3. ランキングの基準は様々


このような街のランキング付けは毎年多くの会社が実施していますが、結果はそれぞれ大きく異なっています。
あるランキングでは上位常連であった街でも、他のランキングでは名前すら見かけることが出来ないというケースもめずらしいものではありません。もちろん、横浜や吉祥寺が上位に入っていないランキングも多いでしょう。

このランキングによって結果が違う原因は、「調査方法及び調査対象が固定されていない」からです。
例えばあるランキングでは、調査方法が住んでみたい街の1位~3位を点数化しているのに対し、他のランキングでは検索・問い合わせの多かった駅名、現在居住中の駅や行政区を5段階評価した平均値であったりと、かなり異なっています。さらには調査対象者も関東在住の特定年代の男女、別の場所ではサイトでの検索数によるもの、中には専門家や編集部が選定したランキングも含まれているのです。

基準が異なってしまえば、当然その結果も異なるものになります。つまり、ある視点(ランキング)から見れば人気の街でも、別視点から見てしまえばそれほど注目されている街ではない、ということもあり得るのでしょう。




4. 投資物件購入時に参考にできるのか


これらのことから、漠然とランキングを過信することは避けたほうが良い、という結論になります。
しかし、調査方法とその内容を理解していれば、参考になるランキングもあると言えるかもしれません。憧れやイメージが強く含まれる「住みたい」というランキングと、実際の居住環境を含めて考えた「住みやすさ」にはギャップがあることは事実です。その上、マイホーム購入を検討するのであれば「買って住みたい」ランキングを参考にするのも良いですが、賃貸経営を考えているのであれば参考にはなりません。また、「住みたい街」などで根強い支持がある街は、その地名自体がブランドとなっていますので、物件価格も非常に高額になることも忘れてはいけないでしょう。

ランキングにはそれぞれ目的と対象者があるということを認識し、それによって投資先のエリア選びとして参考にできるランキングなのかどうかを判断することが重要なのです。

小雪