大きく街の姿を一変させる再開発は、今も都内各地で進められています。効果的な不動産投資を実現したいのであれば、このような再開発エリアはぜひ狙いたいもの。これまでそれほど注目されていなかったエリアでも、再開発によって利便性が向上した結果、急激に不動産価値が上昇したというケースもめずらしくないからです。
そこで今回は、再開発によって注目されているエリアをご紹介します。
目次
1. 再開発とは
2. 再開発エリアを見つける方法とは
3. 注目したい再開発エリア
4. 再開発エリアを狙う理由は?
5. まとめ
1. 再開発とは
そもそも再開発とは、日本では都市再開発を指すことが多く、都市再開発法に基づいた「市街地再開発事業」や、密集法に基づいた「防災街区整備事業」などの総称になります。
簡単に言えば、“安全で住みやすく、魅力的な街づくりをして都市を再生させる”こと。それぞれの街によって直面している課題が異なるため、再開発の規模や内容は大きく異なりますが、既存の街の区画整理からインフラの整備、商業・公共施設の建設や建て替えを行うことで、より良い街へ再生させることを目的としています。
インフラ整備によって交通利便性が向上し、商業施設を充実させることで生活利便性は向上するでしょう。利便性の良さが注目されることによって、「住みやすい街」として知名度も高まります。街並みが整備されることで景観も向上し魅力も増すでしょう。周囲から人が集まるようになれば街全体が賑わい、居住者も増加し住宅需要も上昇。自治体の財政が潤うことでさらに住民に再び還元され、どんどん住みやすくなるという好循環が生まれるのです。
そうなれば、エリアのブランド価値も上がり、地価や資産価値が高まる可能性もあるのです。
2. 再開発エリアを見つける方法とは
新型コロナウイルスや急激な円安などで日本経済は大きなダメージを受けましたが、東京都内では今も多くの場所で再開発が行われています。不動産投資は、その都市の進化に対する「先行投資」のようなもの。その動向を注視することは極めて重要なことと言えるでしょう。
しかし「注目の再開発エリア」として、報道された後から行動するのはやや遅すぎるかもしれません。いち早く再開発エリアを見つけるには、どのような方法があるのでしょうか?
■東京都都市整備局のページで確認
まずは、東京都都市整備局をチェックする方法です。
東京都であれば市街地再開発事業が決定された時点で、東京都都市整備局のページで発表されることになります。計画の場所から、位置図、総面積や工事スケジュール、開発後のイメージ図まで確認できますので、開発の規模や内容などがはっきりとわかりやすいでしょう。
一早く情報を得たいのであれば、こちらで情報を得るのが最も良い手段になります。
■各Webサイトのコラムなどで確認
不動産投資情報サイトやコラムなどから情報を収集するのというのも手です。
人の手を挟んでしまうためどうしても一歩目は遅れてしまいますが、説明や解説が入っている分わかりやすく、多方面から見ることが出来ます。初心者や自分だけでの判断が難しい方などは、こちらの方法のほうが安心でしょう。東京都都市整備局の情報と併せてチェックすると良いかもしれません。
3.注目したい再開発エリア
都内だけでも多くの場所で再開発が行われていますが、その中でも特に注目しておきたいのは「中野区・中央区・港区・新宿区・千代田区」のエリア。この5つのエリアは2030年までに予定されている再開発の中でも特に大規模な内容であることから、さらに魅力のある街へと進化することが期待されているのです。
では、ひとつずつ確認していきましょう。
■中野区
・中野二丁目地区市街地再開発事業(2022年竣工予定)
・中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備事業(2028年竣工予定)
中野区の中心部である中野駅周辺を中心に、超大型の再開発が現在進行しています。
中野のシンボル的な存在であった「中野サンプラザ」が解体されるという話は、大きな話題となったことは記憶に新しいでしょう。老朽化もあり2024年頃の解体が予定されていますが、この跡地に計画されている再開発が「中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備事業」です。
2028年を目安に中野サンプラザが「NAKANOサンプラザシティ」として生まれ変わることが決定。最大7,000人収容の多目的ホールを備え、文化の発信基地としての機能を継承しつつ、中野の新たなランドマークとなることが期待されています。
また、南口ではすでに開発が進行しており、地上20階建てのオフィス棟と地上37階建ての住居棟の工事が着手。どちらも低層部には店舗なども配置予定で、これまで以上に賑わいが増すことが予想できます。
もちろん公園や緑地、道路の整備も併せて計画されていますので、全体的に統一感のある美しい街並みになることが望めるでしょう。
■中央区
・八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業(2022年竣工予定)
・東京駅前八重洲一丁目東A,B地区第一種市街地再開発(2025年竣工予定)
・日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発(2025年竣工予定)
中央区内でも多くの場所で再開発が行われてきましたが、次の注目再開発エリアは八重洲周辺となっております。
東京駅の八重洲口は交通のターミナル機能としての役割を果たしていますが、停留所が周囲の道路上まで散在し、車両交通や歩行者交通が妨げられているという課題がありました。これを解決するため、八重洲二丁目北地区ビルの地下2階に「バスターミナル東京八重洲」を配置。1階には歩行者のための野外広場の開設なども予定されており、国際都市東京の玄関口としてふさわしいバスターミナルへと進化します。
さらに日本初進出となる「ブルガリホテル東京」が開業することが決定されているほか、日本橋方面でも大規模な再開発が進行中で、こちらもヒルトンホテルが経営する「ウォルドーフ・アストリア東京日本橋」も2025年開業が予定されています。
■港区
・虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業(2023年竣工予定)
・虎ノ門一・二丁目地区第一種市街地再開発事業(2023年竣工予定)
・三田三・四丁目地区第一種市街地再開発事業(2023年竣工予定)
多くのビジネス街と高級住宅地を抱える港区も、再開発を幾度も重ねてきたエリアになります。今回の大規模再開発が、これまでの総仕上げとも言えるかもしれません。
東京メトロ日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」と、大規模オフィスとショッピング施設が併設された「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」が開業されたのは記憶に新しいでしょう。これらに合わせて周辺地域も再開発が続いていましたが、現時点ではほぼ最終段階に入っています。
また、虎ノ門・麻布台地区エリアは古い木造住宅が多く、防犯・防災面の不安が大きな課題でしたが、こちらもようやく2019年より再開発の手が入りました。3棟の超高層ビルと、約6,000㎡の中央広場を中心とした街づくりが予定されており、その規模とインパクトは相当なものになると言われています。
三田地区方面でも高層ビルや歩行者デッキが建設中であり、全体的な利便性の向上も期待できるでしょう。
■新宿区
・歌舞伎町一丁目地区開発計画 / 新宿TOKYU MILANO再開発計画(2023年竣工予定)
・新宿駅西口地区再開発事業(2029年竣工予定)
バスタ新宿の開業をはじめ、南口周辺を中心に再開発が進められていましたが、いよいよ東口及び西口の再開発が開始します。
まず東口から見てみましょう。2014年に惜しまれつつ閉館した映画館“新宿TOKYU MILANO”の跡地には、東急電鉄と東急レクリエーションの再開発ビル「東急歌舞伎町タワー」が2023年に開業を予定。映画館、劇場、ライブホールなどとホテルが一体化した超高層複合施設で、新宿東口の新たな顔となることは間違いありません。
次に西口では、こちらも新宿のランドマークとして親しまれ続けてきた「小田急百貨店」が閉館・解体され、新宿西口で最も高い地上48階建ての超高層ビルとして生まれ変わることが予定されています。
併せてJR路線の上空には東西をつなぐ大きな歩行者デッキを建設し、東西の回遊性を高める計画も進んでいます。事業完了予定は2045年とだいぶ先になりますが、新しい人の流れを作り出せると期待も高いようです。
■千代田区
・東京駅前常盤橋プロジェクト「TOKYO TORCH」 (2027年竣工予定)
東京都の中心でもある千代田区大手町周辺にて、現在進行形で進められているのが「TOKYO TORCH」になります。
すでに「TOKYO TORCH常盤橋タワー」は完成していますが、最も注目すべきなのは2027年竣工が予定されている「TOKYO TORCH TOWER」でしょう。その高さは390mで、あべのハルカスを抜き日本一高層ビルになることが決定しているのです。
基本的にはオフィス中心となりますが、高層階にはホテルや賃貸住宅の導入も予定されていたりと、注目度は非常に高いことは間違いありません。
4.再開発エリアを狙う理由は?
今回ご紹介した5つの再開発のエリアは、東京都の中でも超一等地にあたるため不動産価格がそもそも最初から高く、特に初心者にとっては簡単に手が出せるものではないかもしれません。確かに、今回のエリア内に存在している投資対象となるようなマンションやオフィスビルは、数が少ない上に相当の価格帯になっています。
しかし、再開発によって影響を受けるのは、そのエリアだけではありません。人の流れが再開発によって変われば、そのエリアへ向かいやすい地域も併せて地価が値上がりする傾向が見られるからです。
具体的には再開発の最寄り駅に近いエリア、遠くても乗り換えなしで30分圏内で行き来が可能なところを検討すると良いでしょう。
5.まとめ
東京の大改造計画は、まだまだこの先も続いています。
ひとくちに東京都内とは言っても、開発が進み新しい街並みがすでに広がっているエリアと、古い木造住宅が集まったエリアが混在しており、この先この状況がどう変化していくのか引き続き目が離せません。ぜひこまめに最新情報をチェックしておきたいところです。
再開発は各自治体による大規模な投資になります。再開発が完了したとしてもすべての不動産の価値が上がる保証はなく、場合によっては見込んでいたほど資産価値の上昇がなかったというケースもあるでしょう。また最悪の場合は、予定通りに再開発が進まなかった、または再開発そのものが頓挫してしまう可能性もゼロではありません。
その反面で、再開発が成功してエリアとしてのブランド化が進めば、注目度は急上昇し賃貸需要に関しても大きな期待が出来るでしょう。とはいえ購入には慎重な判断が必須となりますので、十分な情報収集をしたうえで検討を行うようにしましょう。
小雪