自分や家族にもしものことがあったことを考えて、または老後のために“不動産投資”を始めようと考える方は多いでしょう。
不動産投資のメリットのひとつに「少額の資金で始められる」というものがあり、手持ちが心もとなかったとしても、金融機関のローンを利用することで分譲マンションを購入し、それを第三者に貸し出すことで得られる賃料収入でローンの返済を行うことが可能です。
このように自己資金が少なくてもはじめられるため、投資をいち早く取り組みたい方にとっては魅力的に映るでしょう。
しかし、実はそれ以外にも大きなメリットがあることをご存知でしょうか。
目次
1. 不動産投資はもしもの生命保険
2. 保険料を別に支払うことはない
3. 団体信用生命保険と生命保険それぞれのメリット
4. 生命保険の内容を見直すことが必要
1. 不動産投資はもしもの生命保険
不動産のローンと言うと“住宅ローン”を思い浮かべる方も多いでしょうが、住宅ローンだけではなく“不動産投資ローン”も存在しています。この2種類を簡単に説明すると、自分が住むためのマイホームを購入する際に組むのが“住宅ローン”、第三者に貸し出すなど投資目的で不動産を購入する際に組むのが“不動産投資ローン”になります。
そして、どちらの不動産ローンにも“団体信用生命保険(団信)”と呼ばれるものが付いています。こちらに加入することが融資条件のひとつになっていることが多いため、ローンが開始した時点ですでに加入が住んでいることがほとんどです。
団体信用生命保険(団信)とは、ローンを利用して不動産を購入しその返済中に万が一のことがあった際に、残りの住宅ローンを保険会社が金融機関に返済してくれる保障制度のこと。これがあることで、債務者(借りた人)が亡くなる、または高度障害状態になるなどのことが起こったとしても、残債をゼロにすることができるのです。つまり残された家族にローンが残ることなく、住宅ローンであればマイホームとして住み続けることが出来ますし、投資ローンであればその後の収入源ともなり得る賃貸用住宅をそのまま残すことも可能となるでしょう。
「不動産投資は生命保険の代わりになる」と言われることもあるように、この団信そのものが不動産ローンを利用して不動産投資を行う際の最大のメリットなのです。
2. 保険料を別に支払うことはない
各金融機関によって差があるため一概には言えないのですが、一般的な団信では保険料を別に取られることはありません。
ただこの保険は、基本的に死亡もしくは高度障害(両視力や上肢・下肢を失う、常に介護が必要になるなど)に陥らない限りは受けることもできません。ですが、通常の死亡保険と比較しても圧倒的に負担が軽いことがわかるでしょう。
生命保険文化センターが2018年12月に公開した「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」によりますと、普通死亡保険金額は平均2,255万円ほど。世帯年間払込保険料は平均38.2万円となっており、毎月約3万円以上の保険料を支払っていることになります。
団信は掛けたぶんが戻ってくることのないいわゆる掛け捨て型になってしまう上、ローンの支払いが完了した時点で保証は終わってしまうのですが、返済期間中だけとはいえ別途負担することなく死亡保険と似たような効果を得ることが可能となっているのです。
3.団体信用生命保険と生命保険それぞれのメリット
「団信は死亡保険とほぼ同じ」と上述しましたが、あくまでそれは“基本保障”です。
大きな病気や怪我をすると、これまでと同じ仕事を続けることが難しくなったり、または辞めざるを得なくなるというケースもあるでしょう。別途負担が必要になりますが、各金融機関ではがん特約や三大疾病特約、七大疾病特約など、一般的な生命保険と同じように基本に特約をプラスし、保証範囲を広げることも可能となっております。
しかし“似たようなもの”であって、団体信用生命保険と生命保険は同じものと言うわけではありません。
ではそれぞれを比較してメリットとその違いを見てみましょう。
●団体信用生命保険のメリット
何と言っても基本保障だけであれば、保険料の別途負担の必要がなくローンの支払いだけで良いという点です。
そして、債務者が亡くなるなど万一のことが発生すれば、ローンの支払い義務がなくなった不動産をそのまま家族、もしくは相続者が引き継ぐことが可能になります。その時点でローンが完済している状態ですから、売却して現金に換えても問題ありませんし、完全に引き継いだ方の資産となるためそのまま賃貸物件として第三者に貸し出し、家賃収入を全額受け取っても構わないという事です。
団信には貯蓄型がなくすべてが掛け捨て型となるのですが、どちらにしろローンが完済した不動産が確実に手に入り資産として残せるため、何も残らないという掛け捨て型のデメリットをほぼ無くすことが出来るわけです。
●生命保険のメリット
素早い対応を求めるのならば、生命保険のほうが安心できるでしょう。
団信と生命保険の最大の違いは、団信では“不動産”、生命保険では“現金(動産)”と、保険がおりたときに受け取れるものの差になります。どちらが良いか損得を全体的な金額で考えてしまいがちなため、意外にも見落としがちなポイントです。
たとえ不動産が手元に残り家賃収入を得ることができる状態でも、まとまった金額が必要になってしまえばその不動産を売却するしか手は残されていません。しかし買手は簡単に見つかるものでもないため、売却までに数か月かかってしまうこともありえるのです。
その点、生命保険は1週間ほどで現金が振り込まれますから、その時点で当面の生活は保障されるでしょう。
生命保険の内容を見直すことが必要
未来のことを考えて不動産投資を始めようと考えるような方であれば、おそらく同じように“もしも”の時のために生命保険へも加入しているでしょう。どちらにもメリットがありそれぞれ役割が存在していますので、「団信があるから生命保険はいらない」という事ではありません。ただし、ローンの負担と保険料の支払いで家計を圧迫してしまうわけにもいきませんから、その時点で加入している生命保険の見直しが重要となるのです。
見直した結果、重複している部分の解約などが出来れば、支払いの負担を軽減しつつ将来の安心に繋がるのではないでしょうか。
小雪