年金問題など将来への不安感から、副収入を求めて投資を始めるサラリーマンは増加傾向にあります。
特に、長期的な定期収入が得られる不動産投資は、人気の高い投資スタイルです。

その不動産投資の中でも、初期投資がある程度押さえられるためにローンが通りやすく、老後の生活を補える収益が期待できると注目されているのが“中古ワンルームマンション投資”。しかし、投資である以上、失敗するリスクはもちろん存在しています。
失敗しやすい人の特徴から、成功するためのポイントまでを押さえておきましょう。



目次
1. 失敗しやすい人の特徴とは?
2. 営業トークに注意
3. 良い不動産会社を選ぶこと

1.失敗しやすい人の特徴とは?


他の投資と比べると手堅いと言われる不動産投資の中でも、さらにリスクが少ないとされているワンルームマンション投資。
ですが中には、開始直後から行き詰まり、その結果収益どころか大きな負債を抱えてしまった…などという方も存在しています。
そういう話を聞いてしまえば、「やはり不動産投資は難しいのか」と心配になってしまうのも仕方がないでしょう。
しかし、実際にはワンルームマンション投資で失敗する要因はそれほど多くはなく、ある程度であれば前もって防ぐことも可能なのです。

失敗する主な要因は、次の3種類になります。


■知識の不足
どのような投資であってもリスクをゼロにすることはできません。
そのため、不動産投資でも失敗のリスクは付いて回るものですが、不動産投資における最も多い失敗例は、「知識不足」から生じています。
どんな投資でも、何の知識もないままの見切り発車で成功することはまずありえません。投資の入門書などが数多く出ていますので、少なくとも1冊くらいは読んでおくのが良いでしょう。
一刻でも早く不動産投資を始めたいという気持ちを抑えて、まずは基本を押さえておくことが重要です。

しかしたとえ本からの知識を得たとしても、それだけで満足してはいけません。
不動産投資を始めるのであれば、必ず“相場”を知らなくてはならないからです。
本で不動産投資の基本を押さえつつ、かつ実践に必要な知識として物件の相場を抑えておく必要があるのです。

相場を知らなければ、営業担当者に良い物件だと勧められれば、疑問を感じることなく買ってしまうことも考えられます。
「収支はプラスマイナスゼロですが、減価償却によって節税は可能」
「ローン返済は家賃から支払えるので問題ない」
「完済前は手元にお金が入らなくても、完済後はそのまま家賃が手に入る」
「これほどの物件はそうそう出回ってない」
などと言われ、安心して購入してしまったという話もあるでしょう。

しかし収支がプラスマイナスゼロの時点で、その物件の販売価格が高く、すでに投資物件として破綻しているのです。
営業トークだけを信じることはせず、まず投資用物件サイトなどを参考にして相場を調べ、その上で判断をしましょう。
物件選びが不動産投資の成否を決めると言っても過言ではありません。
物件を購入したら終わりではなく、買った時点ではまだスタートラインなのです。


■メーカーの名前で判断する
大手メーカーの名前だけで安全だと判断し、購入を決めてしまうというケースも少なくありません。
誰でも一度は耳にしているほど大手のメーカーであれば、そうそう失敗はないだろうと考えてしまうのも仕方がないでしょうし、初心者であればなおさら、大手というブランドに安心を求めてしまうものでしょう。

しかしだからと言って営業担当者に勧められるままに購入してしまうのは失敗のもとなりがちです。
多くの大手の不動産会社は、自社で建設した物件を売りたがる傾向が見られます。もちろんすべての大手不動産会社がそのようであるわけではありませんが、それが相場より高い物であろうとも、買主のニーズに合っていなかったとしても進めてくる可能性もあります。
絶対に安全という物件はあり得ないので、しっかりと確認し納得したうえで購入の判断を下しましょう。


■リスクを確認しない
マンションに限らず不動産を売却する際、その物件に瑕疵(かし)があるのであれば、買主に告知しなければならない「告知義務」というものが存在しています。雨漏りやシロアリ被害、近くの工場から匂いや音がするといったものや、過去に死亡事故などがあったのであれば、もちろんそれらを必ず買主側に伝えなければなりません。
これらは法律で定められているため、このような問題を抱えた物件であれば、購入する前に知ることが可能です。

しかし、それ以外の告知義務に含まれないリスクは、基本的に教えてくれないというのが一般的となっています。
「過去の空室状況」や「原状回復のコスト」、「修繕費の状況」など、不動産投資をする上で必要となる情報には法的な告知義務がないため、こちらで確認しない限りほぼ伝えてくれないと考えても良いでしょう。
これらリスクを確認することは不動産投資の基本であり必須のものになります。
聞き取りを行った後、物件購入をする不動産会社自体が信頼できるかどうかも判断もしなくてはなりません。


●失敗の根本的な要因を知ること
これらが、ワンルーム不動産投資失敗になる3大要素になります。
ワンルームマンション不動産投資の失敗談を綴った本やブログなどあちこちで見かけることもありますが、どれもこの3つの要素のいずれかに含まれていることがほとんどです。その失敗の要素を踏まえ対処を行うことで、投資が失敗する確率を圧倒的に下げることが可能なのです。

そして根本的な失敗の原因にお気づきでしょうか。

「相場を知らない」、「大手の名前を信じ切ってしまう」、「リスクの確認をしない」。
その結果、その物件に見合わない価格に気づくこともなく、どれも“割高な物件の購入”をしているのです。 
物件価格より高額な物件であれば、簡単に収益がプラスになるわけがありません。
根本的な不動産投資の失敗は、“割高な物件の購入”であるといえるのです。




2.営業トークに注意


不動産投資で強い味方となるのは、不動産会社の営業担当者。
確かに、不動産投資の初心者であれば、彼らの意見はとても参考になるはずです。

しかし、営業担当者の基本的な仕事は「不動産を売る」ことであり、「会社と担当者の利益を上げる」こと。
不動産の購入後にその投資が成功しても成功しなくても、不動産会社側には何も関係ないからです。
全員がそう考えているわけではありませんが、実際にそう考えている営業担当者がいることも事実になります。そのような営業担当者に初心者投資家が営業を受けた、または相談をしたのであれば、自分の成績を上げるために何とか今すぐにでも購入してもらおうと、上手く購入意欲に刺さるトークで畳み掛けられてしまうかもしれません。
ここでは、よく使われる「注意すべき営業トーク」を押さえておきましょう。


●「出たばかりの物件です」
または、「めったに出回らないような物件です」、「未公開物件です」など。
頻繁に使われる営業トークで、これらに共通しているのは“特別感を演出”しているところになります。
こう言われることで、自分はタイミングが良い、今を逃すのはもったいないかもしれない、と前向きに購入の検討を始めてしまうかもしれません。

が、これらはお客さま全員に言ってると考えても問題ないでしょう。
初心者には発言の根拠の調べようがないため、言ったもの勝ちとなっているのです。


●「節税になります」
それぞれの物件そのものではなく、不動産投資そのもののメリットを推してくるケースです。
こうすることでどのような物件でも勧めやすく、たとえ事故物件であろうが入居者が見込めないエリアであろうが、確かに節税効果はがあることは事実であり、嘘にはならないからです。

そもそも不動産投資は多くの初期費用が発生するため、初年度から2年目にかけては赤字になりやすく、それを確定申告することで課税所得が減額され、大きな節税効果を得ることが出来ます。節税効果があることはまぎれもない事実です。
しかしその節税効果は永遠ではありません。不動産運用が軌道に乗って黒字に移行すれば、本来の年収に不動産収入がプラスされ、当然節税効果どころか納税額はもちろん増えることになります。

つまり、節税効果あるもののそれは最初の数年だけであり、それを不動産投資のメインとすること自体が間違っているのです。
中でも年収が高い方ほど、この「節税効果」を最大の利点として推されやすいので注意しましょう。


●「一括借上契約があるので大丈夫です」
サラリーマンが副業として不動産投資が選ばれる大きな理由に、この一括借上契約(サブリース)があります。
この一括借上契約は、管理会社がオーナーから物件を借りて、その物件を入居者に貸すという、いわゆる転貸(又貸し)の契約です。賃貸物件を管理会社が借り上げているという状態ですから、言ってしまえば入居者がいてもいなくても家賃を得ることができるという、ある意味夢のような契約でもあるでしょう。
そのため、営業担当者はこの一括借上契約を利点として前面に出して来ることも少なくありません。

しかし、保証される設定賃料は「確実に入居希望者が見つかる」という価格に設定されますので、周囲の家賃相場よりかなり低めになるケースが大半になります。そしてさらにここから手数料として管理会社に10~20%程引かれるため、実際に受け取れるお金はそれほど多くはありません。
さらにその設定賃料を設定する権利はオーナー側には一切なく、空室や相場など状況に応じてさらに下げられることもあるほか、例えばそれを拒否してしまえば更新そのものを打ち切られてしまうケースもあるようです。
一括借上契約ならではのメリットも確かにあるのですが、これを必要以上に強調するという事は、不動産管理会社側が利益を得るためである可能性も否めないので、気を付けなくてはならないのです。


●「売主との交渉は難しいですが頑張ります」
この言葉は、値引きを要求するときなどによく聞かれる言葉になります。
素直に聞けば、「売主との値引きの交渉は難易度が高いけれど、お客様に頼まれたのであれば努力する」でしょう。

ですが実際には、売主がその不動産会社であり「売主=不動産会社」のケースもめずらしくありません。
売主が個人や他社なら問題ない発言でも、自社販売であれば“売主との交渉”をがんばるも何もないのです。
しかし通常、それを買主側は気づかないもの。気づいていなければ、このような「交渉努力をした」という姿を見せることで、値引きできないことを納得したもらったうえ、「交渉努力をした」という好印象を残すことができるというわけです。




3. 良い不動産会社を選ぶこと


注意するべき不動産会社の営業担当者の発言をご紹介しました。
このような耳触りの良い発言ばかりする担当は、おそらく会社の利益のみを考えていますし、販売している物件の多くは割高であると考えても良いかもしれません。
ただし、全ての不動産会社が悪質というわけではありませんし、これらの発言をしたからといってすべて裏があるといったことではないのです。

例えば、「出たばかりの物件です」、「未公開物件です」などという言葉は、本当に出たばかりであれば事実を言っていることになります。不動産流通機構が運営しているネットワークシステム“レインズ”では、登録の有無や登録日も確認できるため、これを見せてもらうことで発言が事実なのかそうでないのか判断できるでしょう。
また、「売主と交渉してみます」という発言には、はっきりと聞いてその反応を見るの良いですし、怪しければ売主との媒介契約の書類を見せてもらうもの手になります。
「節税効果になる」、「一括借上契約」などの場合はやや注意し、その根拠を聞いた上で納得できるか判断する必要があるかもしれません。

中には、このような相手を疑って試すような行為は躊躇うと考える方もいるでしょう
しかし不動産投資家の目的は、適正価格で不動産を購入し、投資を長く成功させること。そのためには、安心して資産を託せる不動産会社を探すところから始まっているのです。
まずはなにより、営業トークに流されることのないどっしりとした知識をきちんと得ることが必要なのです。

小雪