こんにちは。ライターのねぎみじんと申します。

賃貸物件において退去する際に原状回復が必要だという事を知っている人は多いと思いますが、
具体的にどこまでの範囲を回復すればいいのかよく分かっていない人もまた多いと思います。

部屋を借りる際に支払う敷金で大体は賄われるので、
何度か引越しをした人でもあまり原状回復について考えていないかもしれません。
逆に敷金を支払っていたのに退去する際に敷金が戻ってこなかったり、
もっと金額を支払うことになったりした人もいるかもしれません。

今回はそんな知ってそうで知らない「原状回復について」まとめてみました。


1. 原状回復とは
2. 借り主の負担になる場合
3. 貸し主の負担になる場合
4. 退去時のトラブルを防ぐには



 

■原状回復とは
そもそも原状回復とは一体なんでしょうか。
通常の意味合いとしては「元の状態に戻すこと」を指します。

しかし、賃貸物件における原状回復の意味合いは少し異なります。

国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』によると、
「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、
賃借人の故意・過失、 善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」

と定義付けられています。

難しく書かれていて何のこっちゃといった感じですが、
簡単に言うならば「入居者が住んでいる上で仕方なく起こりうる汚れや損傷以外を回復すること」と言い換えられます。

いや、これでもまだ曖昧ですよね。
そうなんです、割と曖昧なんですよ。

というわけで結局、借り主側と貸し主側のどちらが負担するのかという話なので、
それぞれに分けて考えられるパターンをまとめてみたいと思います。



  

■借り主の負担になる場合
借り主、いわゆる入居者側の負担になるパターンを考えてみます。

ありがちなのはまず壁です。
例えば禁煙と決められていたのにもかかわらずタバコを吸って壁にタバコのヤニを付けてしまったり、
壁に棚を設置したりする際にクギ穴やネジ穴を開けてしまった場合などは借り主側の負担となります。

フローリングなどの床も要注意です。
飲み物をこぼしてしまってすぐに拭き取らなかった事でシミになってしまったり、
イスなどでキズやヘコミが出来てしまった場合などは借り主側の負担となります。

もちろん引越しする際にキズを付けてしまったり、
ペットなどを飼っていてキズやニオイが付いてしまった場合も借り主側の負担です。

つまり、
普段の生活をする上でその後のアフターケアを怠ってしまった場合などに発生するものは、
基本的に借り主側の負担になる
と考えておいて間違いないでしょう。



  

■貸し主の負担になる場合
逆に貸し主、いわゆる大家さん側の負担になるパターンも考えてみます。

冷蔵庫などの背面の壁にできる電気ヤケや、
日差しによる色あせた日ヤケなどは貸し主側の負担となります。

他にも換気扇の油汚れだったり水回りの水垢やカビも、
清掃や手入れを怠った結果で汚れや痛みが生じたと判断されない程度なら貸し主側の負担です。

破損や紛失の無い鍵を次の入居者のために取り替える費用も貸し主側の負担になりますが、
借り主側の不注意で鍵を取り替えなくてはならなくなった場合は借り主側の負担となります。

ポイントとなるのは借り主側の故意的なものではなく生活する上で自然に発生したものであれば、
基本的には貸し主側の負担になる
という事です。
ただしこういった部分は貸し主側の判断になるケースも多いので注意が必要です。
しっかりと入居する際の契約書などに目を通しておくことをオススメします。



  

■退去時のトラブルを防ぐには
今まで退去時にトラブルが無かったからと言って安心してはいけません。
原状回復についてトラブルが多いから国土交通省もガイドラインを設けているわけです。

退去する時もどうせなら気持ち良く去りたいですよね。

退去時のトラブルを防ぐためには何と言っても、
賃貸借契約書や重要事項説明書の内容をしっかりと確認することが一番です。

こういった契約書類には起こりうる細かなパターンまで網羅されていることは少ないでしょう。
だからこそトラブルを防ぐためには自分自身で先のことを考えて、
曖昧な表現だったり気になる部分はしっかりと貸し主側と話し合った方が良いでしょう。

とはいえ、既に入居済みで契約内容について突っ込みを入れるなんて、
もう手遅れでどうすることも出来ないなんて人もいるかと思います。

もしそうだとしても日頃の掃除やメンテナンスなど、
入居者として行える事は今からだとしても遅くない事だって多い
はずですし、
当然退去する際は出来る限りの清掃はした方が良いと思います。



 いかがだったでしょうか。
曖昧だった原状回復について少しは理解できたでしょうか。

正直、入居者として毎月の家賃だけでもそこそこの金額を支払っていて、
さらに敷金としても支払いをしているのに、
退去する際に原状回復費用として高額な請求をされるのは嫌ですよね。

でも、貸し主側の立場にたって考えると、
次の入居者を迎え入れるために部屋の修繕はどうしても必要不可欠で、
そこに費用がかかるのも当然です。

そのために入居のルールが設けられていて、
そのルールに従って部屋を借りているわけですから、
生活をする上で日頃から行なえる部屋のメンテナンスくらいはちゃんとした上で、
どうしても起こりうる部分は貸し主側に負担してもらうという、
お互い様な関係でいたいですよね。

ぜひみなさんも退去の際は気持ちよく退去できることを願っています。