こんにちは。ライターのねぎみじんと申します。

特に集合住宅で多いであろうトラブルに、
上下階にて起こる足音などの騒音トラブルがあります。

上の階の足音がうるさくて眠れなかったり、下の階を気にし過ぎてしまったり…

お子様がいるご家庭なら小さな怪獣の足音が気になるでしょうし、
楽器を弾いたりするのが趣味だとなかなか集合住宅で演奏するのは難しいでしょう。

そんな事が起こらないように、
防音・遮音対策を施したりするのも何かと一苦労だったりします。

ずいぶん前に防音対策については一通りまとめた気がするので、
今回は「遮音等級について」考えてみたいと思います。


1.     遮音等級「L値」とは
2.     防音性能と種類について
3.     遮音対策あれこれ



 

■遮音等級「L値」とは
リフォームやリノベーション、特にマンションで行なう場合に、
床の仕上げで出てくるものに遮音等級という言葉があります。

JIS(日本工業規格)にて定められた等級で、
衝撃や音がどれくらい伝わりづらいかを表した指標のようなものです。

数字の前にDが付いていて数値が高いほど遮音性が高い壁用の等級と、
今回メインで紹介するLが付いていて数値が低いほど遮音性が高い床用の等級があります。

というわけで「L値」について深掘りしていきます。
「L等級」と言ったりもします。

床の遮音性に対する基準値ではありますが、
実際の遮音性はどうかというと床材の素材や建物状態などによって変わるため、
「L値」=その通りの遮音性というわけではないようです。

「L値」といっても、
食器などの固い物が落ちる音やイスなどを引きずる音である「LL」(Light weightのL値)と、
人がジャンプしたり走り回る時の音などを基準とした「LH」(Heavy weightのL値)があります。

例えばLL-45と表記があれば軽めの音ですし、
LH-45と表記されていれば割と重ためな音と判断できるわけですね。

また2008年4月から新しい表示方法に変わり、今ではΔL等級というものになりました。
「Δ」はデルタと読みます。

そのためLL-○○、LH-○○といった表記は推定L等級と呼ばれています。

 


 

■防音性能と種類について
では数値はどうやって判断すればいいのでしょうか?

日本建築学会による遮音性能基準を基に「L値」をまとめてみます。
床材による差というわけではなくあくまで条件を揃えた空間性能の測定結果基準です。

それによると物の落下音やイスを引きずる音(LL)、また人の走り回った音(LH)で比較すると、
例えばL-80ではLLとLHどちらもかなりうるさく我慢できないほどで、
L-60でLLは音がかなり気になりLHはよく聞こえる程度、
L-45でLLは小さく聞こえる程度、LHは聞こえるけど意識するほどではない程度、
L-35になるとどちらもほとんど聞こえないようです。

というように数値が小さくなるほど遮音性が高くなりますが、
ややこしいことにΔL等級になると数値が大きくなるほど遮音性が高くなります。

そんなΔL等級の基準値ですが、
ΔLL(Ⅰ)-3でLL-50と同じで物の落下音やイスを引きずる音が通常通り聞こえるほど
ΔLL(Ⅰ)-5でLL-40と同じとなりほとんど聞こえない程度といった具合です。

いやいや急に出てきた(Ⅰ)は何!?となるかもしれませんが、
これは床材のカテゴリーを2つに分類した内の片方を表す表記です。

具体的には、
カーペットや塩化ビニールシート、遮音フローリングなどのカテゴリーⅠと、
畳や後述する乾式二重床などのカテゴリーⅡとに分けられています。

つまりΔLL(Ⅰ)-3なら、
「カテゴリーⅠの床材がある上で、物の落下やイスを引きずった際の音を、
等級でいうなら3だよ」という意味合いってことですね。

説明すると実に長ったらしいですね。



 

■遮音対策あれこれ
最後に遮音対策について簡単に紹介していきたいと思います。

まずはカテゴリーⅠに分類される直張り遮音フローリングです。
フローリング本体の下にクッション材を敷いて設置する方法です。

床の高さを上げる必要が無いのと割と施工費が安いのが特徴です。
逆にデメリットは床下を活かす事ができない点でしょうか。

次にカテゴリーⅡに分類される乾式二重床です。
直張りである遮音フローリングと違って床全体を底上げする方法です。

床下を活かす事ができるので配管や配線を通すことで、
割と自由な間取りやレイアウトを目指すことが可能になります。
施工費用は当然ながら高くなりがちなところが欠点ですね。

これからリフォーム、リノベーションするなら今挙げた2種類の対策がよくある方法ですが、
他にも遮音マットや防音カーペットを使用する方法もあります。
床の上に敷くことで手軽に防音・遮音ができる優れものです。



 いかがだったでしょうか。

音というのはデシベルという数値があったり、
今回紹介した遮音等級という基準があったりするわけですが、
あくまで日頃起こりうる騒音トラブルというのは、
人それぞれの感じ方の違いから起こるトラブルなんだと思います。

そのためなかなかに曖昧なものではありますが、
知らずに生活するのと少しでも知った上で生活するのとでは全く違うので、
ぜひこの記事を機に興味を持ってもらえたら嬉しいです。