こんにちは。ライターのねぎみじんと申します。
不動産投資デビューを考えている方々向けに不動産投資についてお伝えしていく、
【初心者シリーズ】と題して不動産投資について色々と考えていきたいと思います。
不動産投資の営業さんのセールストークに、
「不動産投資には節税効果があるよ」といった話があります。
不動産投資に節税効果があるのは事実です。
過去に書いてきた記事の中でも不動産投資のメリットとしてよく登場させている話です。
それほど有名なメリットであり、
不動産投資をする上である種1つの目的とする人もいるかもしれません。
しかしいくらメリットだからといっても実際にどれほどの効果があるのでしょうか。
営業さんの話をどこまで鵜呑みにしていいものなのでしょうか。
不安ですよね。
不安になる気持ちも十分に分かります。
というわけで今回は、
「不動産投資における節税効果について」どれくらいの効果があるのか、
また節税というメリットに関する注意点にも触れつつまとめていきたいと思います。
1. 不動産投資で節税できる主な税金
不動産投資では主に“住民税”と“所得税”に対して節税が行なえます。
まず住民税とは都道府県と市区町村から課される税金のことで、所得税に応じて税額が決まります。
そして所得税とは収入から費用を差し引いて算出される所得に課される税金のことです。
給与所得から不動産投資によってかかった費用を差し引いた所得分が課税対象となるわけです。
例えばサラリーマンの方が不動産投資を始めたとして、
運用時の経費(管理費やローンの金利など)を本業の所得から差し引いて、
課税対象額を抑えて結果的に所得税を抑える事ができるようになります。
これを“損益換算”といいます。
2. 節税でよく聞く言葉“減価償却”
前述した“損益換算”に加えて“減価償却”も税金を抑える効果があります。
減価償却について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
不動産はどうしても経年で劣化していくので、
そのものの価値が下がっていきます。
下がった価値分を経費として計上できるわけですね。
損益換算は実際にかかった費用分から引かれるため手持ち金にも影響がありますが、
減価償却はあくまで“価値が下がった分”なので帳簿上での計算となり、
手持ち金にはあまり影響なく節税が出来るのです。
3. 物件ごとの減価償却による節税効果と減価償却期間
減価償却できる金額は物件構造によって異なります。
減価償却は法的に定められた物件の耐用年数と、
耐用年数ごとに定められている償却率から算出されます。
大まかに各構造の耐用年数を紹介してみます。
木造 | 22年 |
鉄骨構造 | 34年 |
RC造 | 47年 |
また国税庁のホームページにある減価償却資産の償却率表から上記の各構造ごとの減価償却を割り出すと以下のようになります。
例:5,000万円の新築物件
上記例のRC(鉄筋コンクリート)造の場合は、年間110万円を経費として計上できますが、
木造は年間230万円を経費として計上できるため実質2倍以上の節税効果があります。
中古物件の場合は、耐用年数の計算にまた別の要素が加わり減価償却費の計算も複雑になりますが、
耐用年数までの期間が短い物件ほど償却率は高くなり節税効果も高くなります。
ただし、減価償却が出来る期間は永遠ではないので注意してください。
新築物件の場合は物件購入額を法定耐用年数で割ることで簡易的な減価償却費を算出できますが、
中古物件の場合は(法定耐用年数-築年数)+(築年数×0.2)の期間しか減価償却することはできません。
例えば築15年の中古木造戸建ての場合、
(22年-15年)+(15年×0.2)=10となり、
10年間が減価償却期間となります。
さらにいうと耐用年数を過ぎている木造物件の場合は法定耐用年数×0.2の期間でしか減価償却できません。
先ほどの例でいうと、22年×0.2=4.4(小数点は切り捨て)となり4年です。
このように4年しか減価償却が出来る期間が無いということになります。
古い物件ほど年間の節税効果は高いですが期間が短く、
新しい物件ほど年間の節税効果は低いですが期間が長いというわけですね。
短期間で物件売却しキャピタルゲインを狙う場合ならさほど問題ないかもしれませんが、
節税効果が高いからといって古い物件や木造物件に飛びついてしまうと、
減価償却が出来る期間が終わってから税金が高くなってしまって苦労してしまうかもしれないので要注意です。
そもそも古い物件に入居者が集まりやすいのか?という空室リスクに関する問題もあるので、
年金対策を主に考えて投資をしたいと考えている初心者の方には、
新築でRC(鉄筋コンクリート)造のマンションで、
比較的、初期費用を抑えやすい区分マンションの方が適していると考えることが出来ます。
4. 要注意キーワード“デッドクロス”
前項で解説したように減価償却できる期間はいずれ無くなります。
またローンを組んで物件を購入した場合、
組み方次第ではありますが一般的には支払利息は年々減少し元金返済額は増加するようになっています。
ローンの元金返済額が減価償却費を上回ってしまうポイントのことを“デッドクロス”と言います。
会計上、支払利息は損益換算で経費として計上できますが元金は対象外です。
そのため年々経費として計上できる額が下がって節税効果が薄くなり、
手元のお金が残りにくくなっていきます。
こういった状況下で自身の管理物件で空室が発生してしまうと不動産収入が無くなるので、
非常に苦しい状況になってしまうのはなんとなくイメージしやすいのではないでしょうか。
そういった面も考えると、耐用年数が長い新築のRC(鉄筋コンクリート)構造なら、
47年間も減価償却が出来るためそれまでにローン返済を終わらせることでデッドクロスを防ぐことが可能です。
さらに新築で駅近など需要の高い物件であれば空室リスクも下がるため、
よりリスクの少ない運用も出来ることでしょう。
5. 年収ごとに見る所得税の節税効果
では実際にどのくらい節税効果があるのか、課税年収別で効果を見ていきたいと思います。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
引用元:国税庁ホームページ|所得税の税率
特に節税効果が高いと言えるのは、
課税所得が900万円(実際の年収目安1,200万円)を超える人です。
課税所得が899万円未満の方は節税効果に関しては、
あくまで付帯効果なものとして考えておくのが良いかもしれません。
年収1,200万円も無いのにやたらと節税効果を推してくる不動産営業の方がもしいたら、
鵜呑みにせずにしっかりと質問や確認をして疑問点を解消しておきましょう。
6. その他、節税に関するネタ
その他、節税に関するトピックをいくつか紹介したいと思います。
○法人化
不動産投資でさらに節税効果を上げようと考えるのなら法人化するという方法も挙げられます。
そもそも個人と比べて税率が低いですし、
計上できる経費の種類が増えたり役員報酬や給与を経費として計上することが出来ます。
しかしながら法人設立時の費用や税理士への費用などで余計なコストがかかることも考える必要があります。
法人化については以下の記事で詳しく解説しています。
○譲渡取得税
譲渡取得税とは所有していた不動産を売却した時に得られる所得にかかる税です。
いずれは物件を売却することもあるかもしれませんので覚えて置いて損は無いです。
不動産の所有期間によって以下のように変わります。
1つの物件を長く運用した場合、長期譲渡所得税は低く済みます。
○相続税
相続税とは故人から財産を相続する際、相続人側に課せられる税金のことです。
不動産を相続する場合、国税庁の定める“相続税評価額”を基に算出されます。
とても簡単にいうと、同じ価値であるなら現金で相続するより不動産として相続した方が
課税対象額が引き下がり相続税も下がるため結果的に節税に繋がるというわけです。
○贈与税
贈与税とは財産を他人から無償でもらう際、受取人側に課せられる税金のことです。
資産価値が上がると期待される不動産へ投資していて、
例えば親族間での相続も視野に入れているのなら
“相続時精算課税制度”を使い生前贈与する方法があります。
細かな内容はここでは省きますが、
この課税制度を利用すると相続税評価額が贈与時点での評価額となるため
相続税よりも多くの節税効果が見込めます。
○住宅ローン減税は可能か?
居住用物件をローンで購入する際、一定条件を満たしていれば住宅ローン控除を受けられることがあります。
つまり所得税や住民税を減税できることになります。
ただしあくまでも居住目的での購入に限った話で投資用物件には適用されないですし、
住宅ローンによる投資目的での物件購入は出来ませんので注意しましょう。
いかがだったでしょうか。
今回は「不動産投資における節税効果について」まとめてみました。
不動産投資において節税効果は確かにあります。
重要なのはいかに安定して収益を上げ続けていくかです。
節税ありきで物件を選んでしまい、
入居者が現れずさらにはデッドクロスを迎えてしまい失敗…なんてことにならないように、
空室リスクを減らしながらなるべく安定した運用を目指していくように心がけましょう。