不動産投資を続けていくにあたって、不動産市況の動きは気になるもの。また、これから不動産投資を始める方にとっても、いつ購入するのが損をしないのかそのタイミングが重要なポイントとなることは間違いありません。不動産というものは、時期や状況によって価格が変化します。そのため、市場動向は特に注意する必要があるのです。

そこで今回は、2022年のマンション市場の振り返りと現在のマンション市況から、2023年を見通してみましょう。



目次
1. 2022年の市場の動きはどうだったのか
2. 現在のマンション市況はどうなのか
3. まとめ

1. 2022年の市場の動きはどうだったのか


2月にロシアがウクライナに軍事侵攻し、いまだに収束の見通しはついていません。コロナ禍による経済ダメージは徐々に回復傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染そのものの収束はまだ遠そうです。
また、原材料価格の高騰によって住宅価格が上昇し、急激な円安の進行および米国・欧州のインフレ進行による影響がさらなる追い打ちをかけています。マンションは事業期間が比較的長いためマンション価格に影響が出てくるのは来年以降ではあるものの、中古や期分け販売中のマンション価格はすでにその影響を受けて価格が上がっているのが現状です。


■首都圏新築マンション市場は好調
そのような中でも、首都圏内での新築マンションの売れ行きは堅調が続いています。
建築費の上昇による価格の先高観が需要を強く押し上げたことに加えて、コロナ禍も3年目に入ったことで経済活動も復調。外国人旅行客の水際措置も緩和されたことで、下落していた中心市街地の地価も2020年の水準に戻りつつあります。




2. 現在のマンション市況はどうなのか


2022年は東京都以外にも神奈川や埼玉、千葉などといった首都圏広域で再開発を含めた大規模タワーマンションの供給が目立ち、また売れ行きも好調でした。この流れはしばらく続くとみられ、2023年も新宿や池袋のほか都心周辺エリアでもタワーマンション建設が予定されています。タワーマンションを含めた大型マンションは用地取得から事業化までの期間が長いため、建設費上昇の影響はまだ部分的となっているようです。


■新築マンションの市況は?
不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2022年10月度」によると、2022年10月の首都圏新築マンションの供給戸数は、前年同月との比較で713戸増加しています。1戸当たりの平均価格は0.5%上昇、㎡当たりの単価は5.9%下降。契約率は前年では0.5ポイント上昇が見られました。
なお、地域別の新規発売戸数を見ると、供給戸数を伸ばしているのは埼玉と千葉で、都区部の供給の増加幅は0.8%とそれほど増えていないようです。



■中古マンションの市況は?
一方、首都圏中古マンションの成約件数は、前年同月と比較すると10.7%減少しています。新規登録件数は40,300件と、25カ月ぶりに4万戸を突破。これは平均成約㎡単価が69.40万円と14.7%プラスとなっており、2020年6月度の53.48万円より約3割近く上昇していることから、「今が売り時」と判断した人が増加したのではないかとみられています。

しかし、都区部・都下・神奈川・埼玉・千葉と首都圏の地域別で見た場合、全エリアで上昇しているものの、前月と比較すると東京都以外の3県は下落しています。今後、物価が上昇し家計に圧迫するようになった場合、郊外部の中古マンション価格動向に影響を与える可能性も否定できません。


3.まとめ


新築・中古のどちらもマンションの価格上昇が続いていますが、建築費高騰の影響や地価トレンド、現在の全体的な状況から考えても、2023年はさらに価格が上がる可能性が高くなっています。

とはいえ、コロナ禍による深刻なダメージからは徐々に回復しているものの、2023年に世帯数がピークアウトする2023年問題、団塊の世代が後期高齢者の年齢に達する2025年問題、さらにはいまだ終わりの見えないロシアによるウクライナ軍事侵攻など、不動産市況を取り巻く環境の不安は減ることはありません。
来年2023年の干支はうさぎであり、相場の格言では「卯年は跳ねる」といいます。2023年がそのような年になることを期待しましょう。

小雪