こんにちは。ライターのねぎみじんと申します。

不動産投資を始めようと思っている方々にとって、
始めるタイミングというのは実に悩ましいものかと思います。

そもそもいつまでに始めなければならないといったリミットが設けられているわけでもなく、
厳密な答えがあるわけでもないのでなかなか踏み出せないですよね。

ましてや物件購入となると決して安い買い物ではないので躊躇してしまう気持ちも分かります。

「よし、誕生日だから物件買っちゃおう!」
「ついついお酒の勢いで買っちゃった!」

そんなのは大富豪の話です。

しかしながら資金面に余裕があるなら早めに投資を始めるのも確かに1つの手です。
また金利が低いタイミングや長期的なインフレが見込めるタイミングも投資を始めるには良いでしょう。

既に懐かしくもある2020年東京オリンピックはコロナの影響で2021年に行われるという異例のオリンピックでしたが、
そんなオリンピック後の東京は不景気になって不動産価格も下がるという意見もありました。
実際はどうだったのでしょうか?

そんなわけで今回は「オリンピック後の不動産価格変動について」考えてみたいと思います。
過去の事例や世界と日本との違いなどを踏まえてまとめてみます。

 


 1. なぜ不動産価格が落ちると言われていたのか


そもそもなぜオリンピック後に不景気が訪れ、
不動産価格が落ちると言われていたのでしょうか。

大きく3つの理由が考えられます。

まず1つ目にオリンピック後には経済が後退し、
付随して不動産価格が下がるのでは?という予想から
です。

オリンピックに向けて国がインフラ整備をして、その反動が来ると思われていたわけです。

それは前回1964年の東京オリンピック後に起こった、
昭和40年不況といわれる低迷期のイメージが根付いていたのかもしれません。

しかし、この件に関しては既に経済成長率にて結果が分かっています。
オリンピック事業の影響で経済成長率が高くなるはずの東京では、
全国の経済成長率を下回っているため、実際には地方のほうが高い経済成長を遂げていることになります。

つまり東京の成長率は既にピークに達しているためオリンピック事業があったとしても、
さほど影響は無い
と捉えることができるでしょう。

2つ目の理由として海外投資家たちの売却が考えられていました。

海外投資家たちがキャピタルゲイン目的でタワーマンションなど購入していたものを、
オリンピック後に一気に売却してしまい価格が下がるのでは?と思われていたのです。

実際に、2013年頃から日本のマンションは海外投資家たちによって購入されていました。
< br />しかし過去、世界中のオリンピック開催都市の価格推移を見ても、
オリンピック後に住宅価格が下落している傾向が見られないためさほど影響は無いのではと思われます。

3つ目にオリンピック後に人口が減っていく予測がされていた点です。

少子高齢化の問題で、既に人口減少が謳われていた日本ですが、
オリンピック後あたりから減少し始めるという予測がありました。

しかし、日本全体で見るならまだしも東京都だけで考えるならむしろ人口増加が続くと考えられているのが現状です。



 2. 過去、世界のオリンピック開催都市ではどうだったのか


それでは実際に過去のオリンピック開催都市ではどうだったのでしょうか。
景気と不動産価格について実際のデータを見てみましょう。

○景気

以下は過去のオリンピック開催国の国内総生産(GDP)について、
開催都市の開催決定と開催付近の推移を表した図です。



景気に関してはほとんどの国でオリンピック後も上昇していることが分かります。
ロンドンに関してはリーマンショックの影響により一時的に下がっていますが、
その後上昇に転じています。

つまり前項で伝えた部分である、オリンピック後には経済が後退し、
付随して不動産価格が下がるのでは?不景気がやってくるのでは?という点に関して言えば、
必ずしも景気が下がるとは言い切れないのです。

ちなみに1964年の東京オリンピック後に関しても、
低迷期と言われていたものの経済成長期という事もあり国内総生産(GDP)は上がっています。

○不動産価格

今度は過去のオリンピック開催都市の不動産価格について、
開催都市の前後の推移を表した図です。



これも一目瞭然かと思いますが、上昇しています。
ロンドンに関してはリーマンショックの影響により一時的に下がっていますが、
その後上昇に転じています。

2つ目の理由だった海外投資家たちが手放す件についても、
東京以外でも似たような状況は考えられますが各都市を比較してみても軒並み上がっているので、
必ずしも価格が下がるとは言い切れないことが分かって頂けたのではないかと思います。



 3. 世界と比較できない日本の人口推移による影響


3つ目の理由で挙げた人口減少については世界各国とは異なり、
少子高齢化が他国と比べて非常に進んでいるため、
オリンピック後でどうなったかを比較すること自体が難しいです。

確かに日本全体でみると人口は減少傾向にあります。
では東京だけで見てみましょう。

東京都の発表ではなんと2022年7月段階で人口は未だ増えています。
では、以降の予測ではどうでしょうか。




2025年にピークを迎える予想がありますが、
全国に比べると減少具合は緩やかになっているのが分かります。

さらに単身者に限ってみるとまだまだ増えていく傾向にあるといわれています。

特に、若い世代に関しては転入数も多く、今後も単身者は2040年頃までは増えていく予測となっています。

つまり人口減少とはいえ東京、もっと言うなら23区に関しては、
まだ比較的良い方であるといえるでしょう。

東京都の人口や不動産投資については以下の記事で詳しく解説しています。

    不動産投資

【初心者シリーズ】区分マンション投資はなぜ東京(23区)がオススメ?





 4. 実際、東京の不動産価格はどうなったのか


ということで、
オリンピック後に不景気が訪れて不動産価格が落ちると言われていた理由3つについて、
実際のグラフを基に見てきましたが、
これらを踏まえた上で実際の東京の不動産価格はどうなったのでしょうか。



見て頂くと分かるように不動産価格は特に大きな変化は無く値上がり傾向にあります。

そもそも住宅系に関しては割と不況に強いともいわれており、
オリンピック後ましてやコロナ禍だとしても一時的な下落はあったもののあまり関係は無さそうですね。

また、全国で見ても、特にマンション系は2022年に入っても価格は右肩上がりの状態です。

ちなみにオフィスやホテル、商業ビルなどはオリンピックというよりはコロナの影響によって
倒産やリモートワーク、外出自粛や時短営業などによる関係で著しく悪影響を受けているようです。

首都圏に関していうなら住宅系はさほど影響ないですが、
その他については空室率も上がっており賃料も下がっている傾向にあります。



いかがだったでしょうか。
今回は「オリンピック後の不動産価格変動について」まとめてみました。

オリンピックによって不景気になって不動産価格が大きく下落するという噂は、
現在のところ当てはまっているようには思えません。

人口減少の問題に関しても東京23区、
特に区分マンションなら比較的心配は少ないと考えて良いのかもしれません。

東京はリニア開通や断続的な再開発も行なわれているため地価も下がりにくいと思われます。

東京の再開発エリアの情報について詳しくは以下の記事で解説しています。
    不動産投資

今から購入するならどこが狙い目?注目の再開発エリア



 情報社会であるからこそ色々な情報が飛び交う中で、
正しいデータを基にしっかりと自分の目で冷静に判断していくことが大事だといえるでしょう。