こんにちは。ライターのねぎみじんと申します。

防衛力の抜本的な強化に必要な財源として、
5年後の2027年度に1兆円余りを確保するという目標のため、
法人税、所得税、たばこ税の3つの税目で増税などの措置を複数年かけて実施することが、令和5年度(2023年度)まさに今年、税制改正大綱に盛り込まれました。

単純に増税と聞くとやっぱり明るい気持ちにはなりづらいですし、とはいえ昨今の社会情勢を見ていて防衛力の強化は必要だとも感じるので、
その為の増税なら仕方ないのかなと思う部分もあります。

正直なところ税金に関してはさほど詳しくはないのですが、結局その知識のなさが1番良くないのかもしれません。
今回の増税のニュースを見てそんな事を考えたりする今日この頃です。

というわけで今回は、
「この度の税制改正が不動産投資にどのような影響があるのか」について分かる範囲でまとめてみたいと思います。
よろしくお願いします。

 目次  ーtable of contents
 


 1. 相続税


不動産投資のメリットの1つに節税効果があります。
そんな節税対象の1つが相続税です。

なぜ不動産投資によって相続税が節税できるかというと、
不動産を相続する場合「固定資産税評価額」というもので不動産を評価し、その額への課税となるため、現金よりも課税対象金額を圧縮できるためです。

簡単に具体例を解説すると、相続税は以下の早見表で概算を出すことができます。

配偶者なし・法定相続人が子供のみの場合単位:万円

 
課税価格子供1人子供2人
3,600万円以下00
4,000万円400
5,000万円16080
6,000万円310180
7,000万円480320
8,000万円680470
9,000万円920620
1億円1,220770


引用元:りそなグループ|相続税を早見表で概算チェック!基礎知識と計算方法も解説 より抜粋


この早見表で見ると、仮に現金1億円を子供1人に相続する場合に相続税は1,220万円となります。

しかし1億円を全て使って不動産を購入し、その不動産を相続しようとすると1億円の不動産は「固定資産税評価額」によって6,000万円ほどの価値とみなされます。

不動産の場合、固定資産税評価額は実際の価値の6割程度としてみなされるからです。

ここでは細かい計算は省きますが、
ちょうど6,000万円の価値と評価されると仮定した場合6,000万円が課税対象となり、
上記早見表を元にすれば、1億円の価値がある不動産を子供1人に相続する場合では6,000万円の部分に該当しますので、
310万円となります。

かなり節税効果がありますよね。

相続税に関して詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。

    不動産投資

相続税対策は「不動産投資」が最も有効!?



そして今回、問題なのが「固定資産税評価額」です。

この度の税制改正大綱にて、いわゆる「タワマン節税」と呼ばれる上記のような「固定資産税評価額」が、
実際に売買されている金額より低いことを利用した節税に関して懸念が示されており、
今後、固定資産税評価額を適正化する検討を行なう旨が盛り込まれました。

もし適正化がされれば今までよりは相続税の節税はそこまで効果が無いものになる可能性もあります。
早ければ2023年春にも決定されるようですので動向を見守りたいところですね。

しかしながら区分マンション投資など規模の大きくない不動産投資に関してはさほど影響はなさそうです。



 2. 所得税


所得税には給与所得・不動産所得・事業所得などに課される所得金額に対して税額が上がっていく、
累進課税と、
上場株式などいわゆる金融資産での所得や土地等建物譲渡時(つまり売却時)にかかる所得額にかかわらず一定15%の税金がかかる、
分離課税
の2種類があります。

累進課税では年収195万円未満であれば5%ほどの課税となりますが、
年収が4,000万円を超えると45%もの課税となります。

一方、分離課税では所得にかかわらず一定の15%となっており、
特に年収1億円を超える高額所得者は金融資産での所得が多く、
年収1億円を超えていくほど納税の負担が所得に対して少なくなっていきます。

つまり“金融所得の割合が多い富裕層ほど税負担が軽くなり、税負担の公平性が保たれていない”という問題が指摘されていました。
俗にいう「1億円の壁」というものです。

そこでこの度の税制改正大綱では、
極めて高い水準にある高所得者層に対する税負担の適正化が盛り込まれています。

今まで通り、累進課税や分離課税で所得税の計算を行ないます。
これを基本税額としそれに加え、3.3億円以上の所得がある場合は、
3.3億円を超えた分の22.5%の額を最低納税額の基準とし、
基本税額が最低納税額を下回った場合は、最低納税額を納めなければなりません。

分かりやすい例で言うと、例えば株式等金融資産での所得が20億円あるとします。

今までの所得税では20億円の15%でしたので、3億円が納税額でした。

ただ今回の改正では、
まず基本税額が3億円となり、最低納税額は20億円から3.3億円を引いた
16.7億円の22.5%=3億7,575万円となります。

基本税額(3億円)<最低納税額(3億7,575万円)となるため、
最低納税額の、3億7,575万円を納める必要があります。



これは令和7年以降の株式や土地等建物譲渡時から適用となります。

不動産投資の場合、上記に当てはまるのはかなり規模を大きく運用を行なっている方にはなるかと思いますが、
もし該当される方がいる場合は令和7年以降の物件や土地の売却時には資金管理に気を付ける必要がありますね。



 3. 法人税


不動産投資のメリットの1つである節税ですが、その手段の1つに、
法人化して節税するというものがあります。

個人としてではなく法人として不動産投資を行なうことで、
不動産所得にかかる税金が「所得税+住民税」から法人税に変わり、法人税の方が「所得税+住民税」より税率が低いため
、結果的に節税になるというメリットがあります。

不動産投資の法人化については以下の記事で詳しく解説しています。

    不動産投資

相続税対策は「不動産投資」が最も有効!?



実はこの法人税もこの度の税制改正大綱に含まれています。
内容はこうです。

今までの法人税に加え、
今までの法人税額-500万円(控除)の金額に4~4.5%をかけた金額が付加されます。

時期は令和6年以降の適切な時期とされています。

しかし、これも所得が2,400万円以下の中小企業は負担が増加しない計算になっており、あくまで大きめな企業への増税となります。

不動産投資でも同様に、不動産所得が2,400万円以下の方は対象外となるので区分マンション投資や小規模なアパート運営をされている方はひと安心といったところでしょうか。



 4. 消費税(インボイス制度)


商品やサービスを販売する事業者は、販売の際に消費者から受け取った消費税分を納める必要があります。

しかし、
基準期間(課税期間の前々年度)の課税売上高が1,000万円を超える事業者を課税業者
基準期間(課税期間の前々年度)の課税売上高が1,000万円以下の事業者を免税業者と呼び、免税業者は消費税の納税が免除されていたのです。
※課税売上高が1,000万円以下でも申告をすれば課税業者となり、消費税を納付することができる。

そして商品やサービス販売のために仕入れ時に使った消費税を消費者から受け取った消費税分と差し引いて(仕入税額控除といいます)、
納税の負担を減らすことができました。

しかし2023年10月からは
インボイス(適格請求書)がなければ、仕入税額控除ができなくなると決まりました。
インボイスを発行するには課税業者かつ特定の要件を満たした請求書や納品書を交付・保存する必要があります。

課税業者は仕入れ先が免税業者の場合はインボイスを発行できないため、税額控除ができなくなります。
また、免税業者は仕入れ先が課税業者の場合、相手方からインボイスを発行してもらえれば、
免税業者自身は仕入税額控除ができますが、
相手方のインボイス発行事務作業の手間が発生してしまう、という制度でした。

しかし、この度の税制改正大綱では、免税業者がインボイスを発行できないため、
免税業者から課税業者になる申告を促進するよう、
免税業者から課税業者になったとしても納付税額の負担を一定期間少なくする制度が追加されました。

これはどちらかといえば今回の税制改革の中では緩和のうちに入るかもしれません。

では不動産投資にどんな影響があるのか考えてみます。

オフィスや店舗などといった事業用物件の借主は一般的に課税事業者のため、
賃料には消費税が課されます。

今までの制度では仕入税額控除が適用されており、インボイス導入後にはその影響を受けることになるでしょう。
貸主であるあなた(オーナー側)が免税事業者の場合はインボイスを発行できないため、物件を賃貸している借主(オーナー)側の消費税負担が増えます。

消費税分の賃料値下げの要求をすることが考えられますが、今回の改正で課税業者になってもらうような要求も増えるかもしれません。

居住用物件の場合は賃料に消費税は含まれないため、特に影響は無いということになります。

インボイス制度の概要については以下の記事を参考にしてください。
    不動産投資

インボイス制度導入が不動産投資に与える影響とは?





いかがだったでしょうか。
今回は「この度の税制改正が不動産投資にどのような影響があるのか」についてまとめてみました。

今回の税制改革では、規模の大きい不動産投資の運用や事業用物件の運用をしている方に影響があるため、チェックを怠らないようにしたいですね。

とはいえ区分マンションや小規模アパートなどの不動産投資を行なっている方には影響が少ないです。
しかしながらこういった制度改正は今後も行なわれていくと思われるので、政府の動向にはより敏感になった方が良いかもしれません。

少なくとも税金は僕たち国民にとって切っても切れない存在ですから、僕のようにさほど税金に詳しくない方がいましたらこの機会にぜひ勉強してみてはいかがでしょうか。