こんにちは。ライターのねぎみじんと申します。

増税や現役世代の社会保障負担の増加が叫ばれている昨今。

サラリーマンの皆さんもなかなかお財布事情がよくならない方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は「サラリーマンの方でもできる節税」を紹介していきたいと思います。

節税は、制度を知らなければ誰もやってはくれません。
知らないだけで損をするのはもったいないですよね?

後半には特に注目の項目を紹介しているので、最後までご覧いただければ幸いです。

 


 1. そもそも控除って?


サラリーマンが節税をするには、各種の「控除」を利用し、支払う税額を少なくして、
お金を手元に残す
、という手法になります。

じゃあその控除とは何なのでしょうか?
「なんとなく単語は知っているけれど、意味をよくわかってない」という方に向けて簡単に解説します。

控除とは、差し引くことを意味します。

医療費や住宅ローンなど、国で決められた特定の内容の支払いがあった場合、
その支払い金額を差し引くことで納める税金が少なくなる、という制度です。

控除にも2種類あります。

税額計算で導き出された税額から、控除額を差し引く控除=税額控除
年収から控除額を差し引いて、そこから税額の計算をする=所得控除


支払った内容によって、このどちらかになります。
簡単に説明すると、
税額計算で導き出された税額が36万円で、控除額が12万円の場合、36万円から12万円を引く、という方式が税額控除。
年収が360万円で、控除額が12万円の場合、年収を348万円として税額を計算していく、という方式が所得控除です。

医療費や住宅ローンなど、国で決められた特定の内容の支払いがある場合に、
確定申告で申請することで、納める税金を下げて、手元のお金をより多く残す、ということが可能というわけですね。

さて、どのような支払いが控除対象なのか、どのくらい控除されるのか見ていきましょう!



 2. ①基礎控除・②社会保険控除


この2つは、サラリーマンの方なら、会社の年末調整でやってくれる場合がほとんどなので、
自身で申請をする必要はありません。

ですが、どういった内容の控除でどのくらいの額が控除されるのか、確認しておきましょう。

①基礎控除
年収に応じて、控除額が決まります。

■控除額
所得控除として最大48万円

年収ごとの控除額は以下の表でご確認ください。

合計所得金額基礎控除
2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0万円


年収500万円の場合、48万円が所得控除として控除されるので、
年収452万円として、課税額を計算していく、ということになります。

②社会保険控除国民健康保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料、介護保険料、後期高齢者保険料など支払いをした方が受けることができる控除です。

■控除額
1年間に支払った全額または給与から差し引かれた社会保険料の全額が所得控除として控除
ちなみに、生計を一にする配偶者や扶養親族(奥様やお子さん)が負担する保険料を代わりに支払ったり、給与から控除されたりする場合には、
その全額を納税者本人の所得から控除することが可能です。

20才を超えたお子さんの分の保険料を代わりに支払った場合や、
過去に何らかの理由で自身の過去分の払っていなかった保険料をまとめて支払った場合は、
会社で年末調整を行なってくれませんので、
ご自身で確定申告を行う必要があります。

 3. ③生命保険料控除・④地震保険料控除


③生命保険料控除
生命保険、個人年金、介護医療の保険料を支払っている方が受けられます。

サラリーマンの場合は、毎年10月から11月にかけて保険会社から支払い内容に関するハガキが届きます。
それを会社に提出することで、会社で年末調整を行ってくれます。

■控除額
支払い金額に応じて、所得控除として最高12万円


④地震保険料控除
居住用家屋、生活用動産を保険または共済の目的としていて、かつ地震等を原因とする火災などによる損害にかかる保険料を支払っている人が受けられます。

■控除額
支払い金額に応じて所得控除として最高5万円


生命保険と同様、毎年10月から11月にかけて保険会社から支払い内容に関するハガキが届くので、会社に提出しましょう。

 4. ⑤配偶者控除・配偶者特別控除・⑥扶養控除


結婚されている方・お子さんがいる方はこの控除の対象となります。

⑤配偶者控除
合計所得が48万円以下の配偶者がいる方が受けられます。

控除額は以下です。

■控除額
配偶者が69歳以下の時…所得控除として最高38万円
配偶者が70歳以上の時…所得控除として最高48万円


○配偶者特別控除
配偶者の年間合計所得金額(年収から給与所得控除額55万円を引いた金額)が、
48万円超133万円以下、つまり、
給与収入では103万円超約201万円以下である方が受けられます。

■控除額
納税者や配偶者の所得により異なるが、
所得控除として最高で38万円


配偶者控除・配偶者特別控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、
適用されませんのでご注意ください。

配偶者特別控除では、配偶者の収入が上がれば上がるほど、控除額が下がっていくので、
最大限控除を受けたい場合には、103万円の収入を超えないようにしましょう。

○扶養控除
合計所得が48万円以下の、16才以上の子どもなどの扶養親族がいる方が受けられます。
■控除額
扶養親族の年齢によって異なる。
所得控除として38万円~63万円


大学生など、お子さんがアルバイトをしているのなら、控除を受けるためには、
アルバイトの所得が103万円を超えないように注意する必要があります。

サラリーマンの方なら、この項目も会社で年末調整を行ってくれます。

 5.⑦寡婦控除・ひとり親控除・⑧障害者控除


⑦寡婦控除
夫と離婚し現在婚姻関係にない、もしくは夫の死別後再婚していない方が受けられます。

扶養親族(子供、両親や祖父母、孫)がいて、自身とその親族の合計所得金額が
500万円以下などの要件を満たす必要があります。

■控除額
所得控除として27万円


○ひとり親控除
現在婚姻関係になく、総所得金額等が48万円以下の生計を一にする子がいる方が受けられます。
(男女不問)

自身と子の合計所得金額が、
500万円を超えると対象外となります。

■控除額
所得控除として35万円


女性の場合、寡婦控除、ひとり親控除両方の適用要件を満たしている場合もありますが、
その場合は、控除額の大きいひとり親控除が適用されます。

また、ひとり親控除については、イメージ的に男性は対象外と思い込んでいる方もいらっしゃいますが、
要件を満たせば性別に関係なく受けることができる控除だということを覚えておきましょう。

○障害者控除
自分や控除対象配偶者、扶養家族が障害者の場合に受けられます。
■控除額
1人につき所得控除として27万円
特別障害者は1人につき所得控除として40万円
同居特別障害者は、1人につき所得控除として75万円


※特別障害者:身体1級・2級・精神1級と診断されているなどの方




 6.⑨雑損控除


災害、盗難、横領によって、住宅家財などに損失が生じた際、損失金額を控除できます。

注意すべき点として、
・詐欺、恐喝での被害は対象外
・あくまで「通常の生活に必要な財産」が対象

(事業用資産・贅沢品・骨董品などは対象外)

が挙げられます。

■控除額
損失額-総所得金額等×10%
災害関連支出額-5万円


どちらか多い方が適用され、所得控除として控除


雑損控除は、自身で確定申告を行う必要があります。

また、雑損控除は、マイホームの修繕も対象となります。
例えば、シロアリ駆除で、5万円以上の費用がかかった場合、控除対象となりますので、
ぜひ覚えておきましょう。

他にも、被害額が大きくなり、その年分の総所得金額などから控除しきれない部分が残ってしまったら、
その部分は翌年以降3年間繰り返して控除することができることも覚えておきましょう。

 7. ⑩医療費控除


年間で医療費が10万円(目安)を超える方が対象となります。

■控除額
・医療費-保険金などで補てんされる金額-10万円
・医療費-保険金などで補てんされる金額-総所得金額等×5%

このうちどちらか多い方が所得控除として控除


ポイントは2点あります。

まずは、自分だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払った治療費も控除の対象となります。

自分1人では10万円を超えなくとも、ご家族の分の医療費を支払うことで10万円を超えれば、
控除対象になり節税することができますね。

2点目は、医療費控除対象の治療に意外なものがある、ということです。
例えば、お医者さんから、生活習慣病予防のため、運動をしたほうがいいと診断された場合、
処方箋に書いてもらえれば、運動療法の一環として、スポーツジムの会費なども医療費控除の対象となります。

あくまで、運動療法の一環としてになるので、鍛えたい・スタイルの維持などの理由では対象にはなりません。

 8. ⑪寄付金控除(ふるさと納税)


寄付金控除とは、国や公益法人などに特定の寄附金を支払った方が受けられるのですが、
寄附金控除の中でも特に注目すべきポイントは、
「ふるさと納税」制度でしょう。

ふるさと納税とは、本来は住んでいる自治体に納めるはずの税金を、
任意の自治体に寄付することで、住民税や所得税が税額控除される仕組みです。

控除を受けられる上限は納税額によっても異なってきますが、
控除される金額は寄付金から2,000円を引いた金額と決められています。

ふるさと納税のいいところを、例を混ぜてわかりやすく解説します。

年収500万円で独身の方が、6万円をとある自治体にふるさと納税をしたとします。

すると、6万円-自己負担額2千円で、5万8,000円が税額控除されます。

これだけだったら、ただ翌年支払うはずの税金を、先に別の自治体に支払っただけなのですが、
ふるさと納税のいいところは、
寄付した自治体から、寄付金額の3割相当分の返礼品をもらえるということです。

ふるさと納税で6万円寄付した場合、約1万8,000円の特産品などの返礼品をもらえるのです。

つまりは、寄付金額の3割分、税額控除される(=特産品として返ってくる)ということになります。

総務省のホームページでふるさと納税のことについて詳しく解説されているので、
参考にしてみてください。

総務省|ふるさと納税ポータルサイト

また、本サイトでは、不動産投資をしていてふるさと納税をするメリットや注意点を解説しています。

    不動産投資

不動産投資をしている場合のふるさと納税ってどうなの?



また、本来寄附金控除は確定申告をしなければ控除が適用されないのですが、
サラリーマンなどの給与所得者は、寄付先が5自治体までなら確定申告をしなくてよい、ワンストップ特例制度もあるので、
気軽にふるさと納税をやってみることができますね。

しかし医療費控除や住宅ローン控除なども合わせて適用したい場合は、
確定申告が必要となる点は注意してください。

 9.⑫住宅ローン控除


住宅ローンを組んで、マイホームを新築・購入・増改築した人が受けられます。
控除額は住宅ローン残高をもとに計算します。

■控除額
年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除
=最大13年間、35万円の税額控除

要件について詳しくはこちら
国土交通省|住宅ローン減税


ポイントは、所得税額ではなく、税額控除という点です。

計算された税額から、大きめな金額を直接差し引けるので、節税効果はかなり高いと言えます。住宅を購入された方は要チェックです。



 9. ⑬不動産投資


不動産投資のメリットの一つに、節税効果があります。
 不動産は経年劣化していくので、価値が下がっていきますが、
その価値が下がった分を経費として計上できるので、所得金額を低くすることができ、
結果所得税を抑えることができます。


また、法人化することで、納める税金を所得税+住民税から法人税に切り替えることができ、
所得税+住民税より法人税の方が税率が低いため、節税できる、といった手法もあります。

不動産投資の節税効果については、以下の記事で詳しく解説しています。

    不動産投資

【初心者シリーズ】不動産投資の節税効果ってどれくらいあるの?



 とはいえ、「不動産投資はちょっと敷居が高いかなぁ…」とお考えかもしれません。

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詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひご一読ください。

    不動産投資

意外と敷居が高くない?投資デビューにおすすめの区分マンション投資!【超初心者シリーズ】





 今回はサラリーマンの方が受けることができる控除を13項目紹介いたしました。

このような控除は知らないと本当に損をしてしまうので、ぜひ覚えておいていただければと思います。

ただし、あくまで控除です。

みなさんが何か支払ったものに対して少しだけ、税金が少なくなるというものにはなるので、
節税をしたいからといって無闇に支出を増やすのは本末転倒ですのでご注意ください。

この記事を参考に、少しでも貯金や老後の備えができれば幸いです。