こんにちは。ライターのねぎみじんと申します。
不動産投資は物件購入をすれば後は何もしなくていいというわけではないですよね。
安定して運用していくのはもちろん、
物件価格が高くなったり売却を検討したり、老後のための対策として購入し運用するなどが重要です。
そういった運用中にはなるべく手元にお金を残しておかないと、
空室ができたり物件の修理だったり突発的なリスクに対応出来なくなってしまいます。
というわけで今回は「キャッシュフローの算出について」解説していきたいと思います。
よろしくお願いします。
目次 ーtable of contents
1. キャッシュフローがどれだけ大事か
キャッシュフローとは実際に手元に残る現金のことです。
何かあったときのために出来るだけ多く残しておくことが重要だと冒頭でもお伝えしました。
もっと具体的にキャッシュフローがなぜ重要なのか6つにまとめました。
○空室発生時のローン支払い
どうしても不動産投資に空室リスクは発生します。
空室ができてしまうと家賃収入が無くなってしまうわけですが、ローン返済が止まることはありません。
そうなった場合、投資家は自己資金で返済を続けることになります。
当然ながら手元に現金が無ければローン返済を続けることができませんが、
しっかり現金があれば返済を補えます。
○金利上昇時に余裕ができる
変動金利でローンを組んでいる場合、金利が上昇すると返済額が上昇することがあります。
急な金利上昇によって返済額が増えることでローン返済計画も崩れかねません。
低金利ローンへの乗り換えや繰上げ返済などの対策をするためにもキャッシュフローが大事になります。
○設備等の修理費
急なリスクは何も空室や金利上昇だけではありません。
物件設備の修理や交換も突発的に起こる可能性があります。
空室が出た際のリフォーム資金といった意味でもキャッシュフローが必要です。
○余裕があれば生活費や給与収入などを使わずに済む
不動産投資をする方の中には副業として行なっている方もいるかもしれません。
不動産収入と給与収入の2本柱というわけです。
もしキャッシュフローに余裕が無ければ、給与収入などから資金を補う必要が出てくるためもはや副業と呼べなくなる恐れがあります。
そのため基本的に不動産投資の運用資金は不動産投資のキャッシュフローで賄うのが理想的です。
○売却の際に有利になる
またキャッシュフローの利益が多く得られる物件ということは安定した収入が見込めるということなので、売却時の査定額も高くなりやすいと予想できます。
○順調なら2件目も購入できる
キャッシュフローの利益が多くなれば2件目の物件購入も目指せます。
もし運用する物件を安定して増やすことができるならより多くの利益が見込めますし、多くの資産を残せることになります。
2. キャッシュフロー計算解説:税引き前利益・ローン返済額・減価償却費について
それではキャッシュフローに関しての計算方法について解説していきます。
まずは課税対象額を算出するために税引き前の利益を出しましょう。
計算方法は以下の通りです。
税引き前利益=家賃収入-必要経費(管理費+修繕積立金+固定資産税+都市計画税+清掃費)-購入時の諸費用(登録免許税、不動産取得税、各種手数料など)-減価償却費-返済利子
※減価償却費について
不動産は経年劣化しますが、その分を経費として計上できます。
実際にお金を支払うわけではないですが課税対象額を算出したいので経費として一旦引いています。
※返済利子について
元本は?と思われるかもしれませんが、元本は経費に入れられないので元本はここでは無視します。
この計算方法を用いてまずは税引き前の利益を算出することができました。
3. キャッシュフロー計算解説:税引き後利益
税引き前利益=課税対象額が分かったところで、次に税引き後の利益も計算します。
計算方法は以下の通りです。
税引き後利益=税引き前利益-所得税・住民税
これで税引き後の利益も算出できました。
4. キャッシュフロー計算解説:税引き後キャッシュフロー
税引き後の利益だけでは正確なキャッシュフローは出ません。
税引き前の利益を出した時にポイントだった返済元本と減価償却費を思い出してください。
計算方法は以下の通りです。
税引き後キャッシュフロー=税引き後利益-返済元本+減価償却費
返済元本は課税対象額を出すために不要だったため無視していたのでここで引きます。
減価償却費は課税対象額を出すために必要だったけど実際にお金を支払ったわけではないのでここで戻すために足します。
これで税引き後のキャッシュフローを算出することができました。
5. キャッシュフロー計算例と注意点
さて計算方法が分かったところで具体的な一例で計算してみます。
分かりやすくするために簡単めで仮の数字で見てみましょう。
年収1,000万円のサラリーマンが購入するとします。
■某一棟アパート
<融資条件>自己資金10%、金利1.9%、期間30年
・価格:5,500万円
・家賃:388万円/年
・運営費:84.5万円/年
・ローン返済金(元金):約122.5万円/年
・ローン返済金(利息):約94.0万円/年
・減価償却費:124万円/年
<融資条件>自己資金10%、金利1.9%、期間30年
・価格:5,500万円
・家賃:388万円/年
・運営費:84.5万円/年
・ローン返済金(元金):約122.5万円/年
・ローン返済金(利息):約94.0万円/年
・減価償却費:124万円/年
※価格は購入時諸経費も入れています。
運営費は管理費+修繕積立金+固定資産税+都市計画税+清掃費など入れています。
○税引き前利益
家賃収入-必要経費(管理費+修繕積立金+固定資産税+都市計画税+清掃費)
-購入時の諸費用(登録免許税、不動産取得税、各種手数料など)-減価償却費-返済利子
なので、
388万円(家賃収入)-84.5万円(経費)-124万円(減価償却費)-94.0万円(返済利子)=85.5万円です。
○税引き後利益
まずは所得税、住民税を算出します。
本業が1,000万円で不動産所得の課税対象額が85.5万円です。
国税庁のHPを見ると、
今回の例の場合では9,000,000円から17,999,000円までのゾーンになるので、
所得税33%、住民税は一律10%となり合計43%が税金となります。
85.5万円×43%=36万7,650円
税引き後利益=税引き前利益-所得税・住民税
なので、85.5万円-36万7,650円=48万7,350円となりますね。
○税引き後キャッシュフロー
さっきの48万7,350円に返済元本を引いて減価償却費を足します。
48万7,350円-122.5万円+124万円=50万2,350円となります。
この場合、年間50万2,350円が不動産投資の利益で手元に残るということが分かるわけですね。
■注意点
特に減価償却費についてですが、建物によって減価償却できる期間が決まっていて、
期間が過ぎると課税対象額から減価償却費を引くことができなくなり、課税対象額が大きくなることで税金が増えてしまう恐れがあります。
建物の減価償却期間については、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。
いかがだったでしょうか。
今回は「キャッシュフローの算出について」解説しました。
主にキャッシュフローの重要性や計算方法についてまとめてみました。
不動産投資において、いかに手元に現金を残すかという事は非常に重要です。
また残った現金をどう使うかによってもキャッシュフローが左右されます。
安定した運用のためにぜひ覚えて置いてくださいね。