こんにちは。ライターのねぎみじんと申します。

FXや株式投資と比べると不動産投資にはどういったイメージがあるでしょうか?
物件自体の価格は高いものの、長期的運用で老後資金や年金対策にうってつけだったり、生命保険の代わりにもなり得る不動産投資は、
FXや株式投資よりもマイルドな印象を持つことも多いかもしれません。

しかし、絶対に安心できるというわけではありません。

これまでも東京オリンピック問題や2022年生産緑地問題など、出来事や市況、制度の変更などによってマイナスの影響が懸念されていたこともありました。
とはいえ、これらの問題は今のところ、不動産市況全体的には思ったほど影響は大きく無かったといわれています。

今後もこういった○○問題といった問題が発生するのか?という疑問から、現在懸念されている問題をいくつか紹介していきたいと思います。

というわけで今回は「不動産における2023年、2025年、2035年問題」についてまとめていこうと思います。
事前に把握しておくことで有効な対策を立てる際の参考になれば幸いです。

 


 

 1. 2023年問題|世帯数が減る!?


突然ですが日本は既に人口が減少し始めていて、今後もこの人口減少が続いていくと予想されていることをご存知の方は多いと思います。

もちろん高齢化社会、少子化社会と日々ニュースでも言われ続け、外を歩けば確かにそういった雰囲気を感じることも増えた気がしますが、
あくまでそれは自分の周りだけの話で、日本全体の人口減少といった大きな視点で普段から考えている人はどの程度いるでしょう。

突然ある日、成熟した日本人がたくさん現れることなんてあり得ませんよね?
高齢化や少子化が加速することで将来生まれてくる子供たちの数もある程度はっきりと予測できるため、
人口減少は既に予測ではなく確実に来る未来だともいわれています。

そんな中で、実は今まで減少中の人口とは対照的に世帯数は増加傾向にあったのですが、この世帯数のピークがなんと2023年だといわれているのです。

この事態を恐れていわれているのが2023年問題です。



特に高齢者の多い地域では2023年以降、空き家が増えていくと見られています。
それにより物件、特に戸建てなどの需要が減り、不動産価格が下がっていくと推測されているのです。

ただし元気の無い日本だといわれていても東京23区などの都市部ではまだまだ活発に働ける若者が多く集まるため比較的影響が少ないことも予想されています。
また東京都は世帯数も増えるという予測もされていて、都心部のワンルームマンションなどへの影響は比較的少ないという考えも広まっています。

同じ都道府県内でも人口の増加地域と減少地域が一層顕著になってくるでしょう。
そのため戸建て物件などに投資をする場合は、しっかりと物件選定や地域の状況を読み解く力がより必要になってくると思われます。



 

 2. 2025年問題|高齢者が増える?大阪万博?


2023年を乗り越えた先、次にやってくるのが2025年問題です。
2025年問題は主に2つあります。

・高齢化問題の進行に起因する問題
・大阪万博開催に伴う問題

1つずつ見ていきましょう。

○高齢化問題の進行に起因する問題
2025年には約800万人いる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者へと突入します。

そこで何が起きるかというと、まずリタイアした人が新たに引越しをしたりマイホームを購入したりといった行動を起こす割合が低くなるため、賃貸・分譲共に不動産需要が低下することが1つ懸念されています。

そして社会保障費が今よりも約20兆円増えるため、公共サービスの大幅な縮小が行なわれ、特定の地域に住んでもらうような政策になる可能性すらあるのです。

◆不動産需要の低下
上記の理由から新たな不動産需要が生まれにくくなる事が予想されます。

さらには本格的に物件の相続件数が増え、相続したものの住む必要が無かったりして売却されそのまま空き家になる可能性も高いです。
人口は減り続けるため、30代などの新たに家を購入する層も減少しているので空き家が増えると予測されているわけですね。

2033年の空き家率はなんと30%を超えるともいわれています。
空き家が多いという事は当然不動産価格も低下せざるを得ない状況になるでしょう。

◆公共サービスの縮小
高齢者が増えることで自治体の予算は少なくなります。
また住む人が少なくなってしまえば施設もあまり使われなくなりますよね。

これらの事から公共施設の統合が進むといわれています。

分かりやすい例で言うと、子供が少なくなってしまった地域では別の学校と統合して1つに集約せざるを得ないわけです。

こういった現象が学校や図書館、行政施設など様々な公共サービスで起きていきます。
施設が無くなるということは、その地域に住もうと思っても不便さが際立ってしまい、その地域にわざわざ新しく住もうと思う人は減る一方でしょう。
つまり、不動産需要も減るというわけですね。

今後人口は減っていくので、既に積極的に施設の統合を進めている自治体も存在します。
そこで進められているのが立地適正化計画という計画です。

立地適正化計画とは、人が住むエリアが狭くなればゴミ収集や除雪、道路や上下水道の維持など公共サービスの費用が少なくて済むようになるので、住んで欲しいエリアをあらかじめ設定し、そこに誘導しようとしている計画のことです。

分かりやすくすると以下の図のような内容になります。



上の図でいうと、元々は緑色のエリアに幅広く人が住んでいたけれど人が減ってきたから青色や赤色のエリアなどある程度までの狭い範囲に人を集めて公共サービスの負担を減らしていこうといった動きです。

青色のエリア以外の部分ではバス路線の減便もしくは廃止だったり、今までよりは極端に不便になってしまうことが予想されます。

こういった計画により、人の多い地域と少ない地域とで二極化がさらに進むでしょう。
そのため人の少ない地域では不動産価格が下がるというわけです。

マイナスな話ばかりになってしまいましたが、人の多い地域と少ない地域とで二極化が進むということはつまり、
人の多い地域ではまだまだ需要は少なくないとも言えます。
特に大都市中心は人の多い地域の筆頭ですので、早いうちにそういった有利な地域を押さえておきたいものですね。

それにはやはり物件選定はもちろん、地域の状況を読み解く力、そして情報収集力がより重要になってきます。

○大阪万博開催に伴う問題
2025年には大阪万博が開催されます。
これは2021年東京オリンピック開催における懸念と同じような注意が必要です。

世界的に大きなイベントがあれば、開催地の周辺はインフラ整備が進んだり、注目を浴びることで、開催前に投資家がたくさん投資をする事になるので不動産価格が上がります。
そしてイベントが終わると投資家の中には撤退する人もいるので、反動により価格が暴落してしまうのではという問題です。

しかしながら、過去同じような世界的イベントだった、2021年東京オリンピックの終了後は、今のところ不動産価格は上昇傾向が続いています。

果たして大阪はどうなるでしょうか。

大阪でも、インフラ整備されることで便利な地域という印象がつき値上がり傾向が続くかもしれません。

2021年東京オリンピック終了後の不動産価格推移については、以下の記事で解説しています。

    不動産投資

東京オリンピック(2022)が終わって不動産価格はどうなった?




 

 3. 2035年問題|さらに高齢者が増える!?


そんな2025年の10年後である2035年。
団塊世代もかなりの高齢となり、亡くなってしまう人も増えていくでしょう。
さらに、人口の多い世代として最後にあたる、団塊ジュニア世代が後期高齢者となります。
人口減少が加速していく中で不動産需要はさらに少なくなってしまう懸念がありますね。

そんなのもう不動産投資に未来は無いじゃないか!と思われるかもしれませんが、対策はあります。

2025年問題同様、人の多い地域と少ない地域の二極化が進むので基本的には大都市圏を狙っていくのがセオリーになり得ます。

特に東京都心部の単身者の人口は、他地域に比べれば、人口減少ペースはかなり緩やかだ、という予測もあります。
さらに東京都は一定の基準を満たしていないマンションは新規で建設できない、という条例が出来ました。

これらのことから日本全体の人口は減ったとしても、東京の単身者向け物件の需要の減少は緩やかだろうという予測が立てられます。

東京都の人口、東京都のマンション条例については以下の記事をぜひ見てみてください。

    不動産投資

【初心者シリーズ】区分マンション投資はなぜ東京(23区)がオススメ?



    不動産投資

区分マンション投資に有利!?ワンルームマンション条例とは



これらの事を踏まえて、不動産投資を長い目で運用する事を考えたら、東京都心部周辺のワンルームマンションは、有力な候補になり得るのではないでしょうか。



 いかがだったでしょうか。
今回は「不動産における2023年、2025年、2035年問題」について考えてみました。

今の日本から未来の日本を予測していくとどうしても不安な要素や怖くなってしまうようなマイナスな事を多く感じてしまいます。
それはおそらく今の日本、もっと言えば僕ら日本人自体に元気が無いからかもしれません。

しかし本来は未来を予測することは明るく前向きなものであるべきではないでしょうか。

人口と不動産は切っても切れない存在です。
不動産投資を検討している人はぜひ社会状況や人口動態、国の政策など多面的に分析をして、より良い不動産投資を行なえるようにもう1度自分なりに考えてみてはいかがでしょうか。