こんにちは。ライターのねぎみじんと申します。

不動産投資をするにあたって、借入れをする人は多いです。
中にはフルローンといって自己資金なく全て借入れで投資を行なう人も結構いるようです。
確かに借入れをすることでレバレッジが効くので効率の良い運用ができるともいえます。

しかしたくさん貸してくれるからといってドンと大きく借りてしまって本当に大丈夫でしょうか?

その判断に使えるのがK%(ローン定数)という指標です。

この指標を使って自己資金とのバランスを考えてフルローンでも大丈夫なのか、
どこまで借入れすれば安全な運用ができるのかといった事を予測します。

さらには2件目以降の物件購入をしようとした際の自己資金の確保に繋げることもできます。

ということで今回は「K%(ローン定数)について」解説していきます。
よろしくお願いします。

 


 1. K%(ローン定数)の計算方法


計算方法の前にK%の計算式を紹介します。

ローン定数(K)=ローン年間返済額÷ローン残高×100(%)


簡単に例えるならば、
ローン年間返済額が100万円でローン残高が2,000万円だった場合、

ローン年間返済額100万円÷ローン残高2,000万円=0.05×100=5

となり、K%は5%となります。

どうですか?数字が苦手な人でも簡単に感じませんか?
まぁ実際に僕は数字が苦手なのでそんな僕からすると計算式に当てはめるだけなら非常に簡単だと感じます。

もう1つ例を挙げてみます。

例えばあなたが2,500万円の物件を金利1.7%のフルローン(35年返済)で購入しようとした場合は、
ローン年間返済額948,000円÷ローン残高2,500万円=0.03792×100=3.792

つまりK%は3.792%となるわけです。



 2. K%を使ってどう判断すればいい?


K%の算出方法は分かりました。
いやぁ思っていたよりも計算が簡単だ!こりゃあ良いや!となったかもしれません。
そして先ほどの例で考えるとK%が3.792%だということも分かりました。

はい。
…で、それが何なの?
そういった声が聞こえてきそうです。

冒頭で、
自己資金とのバランスを考えてフルローンでも大丈夫なのか、
どこまで借入れすれば安全な運用ができるのかといった事を予測するための指標だって言ったよね!?

そういった声が聞こえてきそうで怖いです。

そうなんです。
K%(ローン定数)単体では特に判断できるわけではないのです。

そこで登場するのがFCR(実質利回り)というものです。

これらの数値とK%を比較することで、
物件の収益と返済のバランスを判断する事ができるのです。

FCR(実質利回り)の計算式は以下の通りです。

FCR(実質利回り)=年間収益-運営費÷物件額(諸経費込み)×100(%)


またFCRと似た指標にNOIというものもあります。
NOIも実質利回り(ネット利回り)と呼ばれFCRとNOIは似ていますが
FCRはNOIよりもより厳しく算出した数値と思って頂ければOKです。

 とまぁとてもざっくりとFCRについてお伝えしましたが、
実際にK%とFCRをどう比較するかというと

K%よりもFCRの方が大きければ(K%<FCR)
レバレッジが効いている状態なので物件購入の検討の余地ありといった感じでしょうか。

その逆でK%よりもFCRの方が小さければ(K%>FCR)
レバレッジが効いていない状態と考えられるので融資を受ければ受けるほど悪化する可能性が高いといえるでしょう。

K%よりもFCRの方が小さくなってしまう場合は、
自己資金額を増やしローン割合を減らしたり返済計画を考え直したり、
もう少し安価な物件などへ変更するといった的確な判断力が必要になってきます。



 3. K%、FCR(実質利回り)の比較例


K%だけではなくFCRとの比較が大事そうだなというのは何となく分かって頂けたかと思います。
では具体的な例で実際にどういう比較になるのか見ていきましょう。

年間収益と運営費を差し引いた利益:187万5,000円
物件購入価格(諸経費込み):2,500万円
FCR=7.5%

という物件を、
借入額:2,100万円
で購入しようとした際に、

A案:金利3%、返済期間15年、年間返済額174万0,264円
B案:金利3.5%、返済期間25年、年間返済額126万1,560円


という2つのパターンで比較した時にどちらが有利な資金調達になるでしょうか。

年間返済額は共に年間利益を下回るのでA案B案どちらのローンを選んでも、
キャッシュフロー自体はマイナスになりません。

ということは、
シンプルに金利が安く返済期間も短いA案のローンの方が有利なように思えます。

ここでK%を算出してみましょう。

A案:174万0,264円÷2,100万円=8.29%(小数点第3四捨五入)
B案:126万1,560円÷2,100万円=6%(小数点第3四捨五入)


FCRは7.5%でしたよね?
つまりK%の低いB案の方が有利な資金調達といえるのです。

では自分の勘を信じてA案で運用してみたらどうなるかというと、
8.29%の資金調達で7.5%の資産運用をする事になるので、
キャッシュフロー上の利回りはレバレッジが逆に働いてしまう通称“逆レバレッジ”という状態になってしまいます。

K%(ローン定数)というものは金利が上がると高くなり逆に金利が低いと下がるものですが、
元本の返済額も重要なのでローン期間が長いと年間返済額を少なくできるためK%は低くなります。

この年間返済額がA案とB案とでは差額が約48万円ほどです。
これが長く続き例えば10年ともなると480万円の差です。
つまりキャッシュフローにこれだけの差が生まれるということです。

これだけの差があれば新たな区分マンション物件購入の足しにすることができますし、
急な資金繰りが必要な場合でも少しは安心ですよね。

区分マンションを複数持って運用する考え方の一例の参考に以下の記事もご参考ください。
    不動産投資

区分マンションを複数持つことで得られるメリットとは?区分マンションのメリット2





 4. K%は金利変動やローン残高で変わっていく


K%はローン残高に対する年間返済額の割合なので、ローン残高が減っていけばK%は低くなりますし
変動金利で借入れした場合は金利の変動によっても変わります。

順調に運用ができていれば5年10年と経つにつれK%は下がっていきます。

つまり何年か運用を続けて改めて算出し直してK%が低くなっていて 、
キャッシュフローに余裕があれば次の物件を購入するといった判断も出来ることでしょう。

変動金利で借入れした場合は、仮に金利が上昇しK%が上がってしまってキャッシュフローに影響が出そうなら
空室リスクを減らして空室が発生ない対策や、より金利の低い金融機関に乗り換えを検討するなどの対策を立てるのに
より具体的に何をしていけばいいか考えたり、不動産会社に相談するなり出来ますね。



いかがだったでしょうか。
今回は「K%(ローン定数)について」解説してみました。

投資を成功させるためには、ある程度具体的な数字感覚も必要になってきます。
また無茶な不動産会社の営業提案に対して具体的な返しをして身を守るためにも
有利に事を進めるためにも、K%を把握しておくということは重要です。

ぜひ覚えていきましょう。