こんにちは。ライターのねぎみじんと申します。
不動産投資に興味を持って色々と勉強していくと、たくさんの単語に出会うかと思います。
しかも横文字の単語も多くて覚えようと思ってもなかなかに大変です。
とはいえいちいち調べていては面倒ですし、
覚えておいた方が失敗しにくくなるので重要な単語は覚えておきたいところです。
というわけで今回は、
物件の収益性を判断できる「FCR」という指標と、
どれだけ自分の資金を早く回収できるか、借入れで利益を生み出せているか、
という投資効率、
いわゆるレバレッジが効いているかという「CCR」という指標を紹介していきます。
目次 ーtable of contents
1.FCRって何?
2.FCRの計算例
3.CCRって何?
4.CCRの計算例
5.CCRの注意点、LTV・ROIの関係
1. FCRって何?
まずはFCRについて覚えていきましょう。
FCRとは総事業費のことで英語では“Free and Clear Return”となります。
計算式は以下のように算出できます。
総利益(想定される空室分や運営費も考慮する)÷(物件購入費用+諸経費)×100(%)
FCRでは、想定される空室による損失・運営費・購入時にかかる諸経費も含めます。
これで物件の収益性をより正確に判断できる指標となります。
このFCRは該当する項目を入れ替えれば不動産投資だけではなく株式投資や投資信託など他の投資にも使えます。
そのため不動産投資と他の投資を比較する時にも使えるので覚えておいて損はないでしょう。
不動産の営業では表面利回りで提示されることもあります。
表面利回りとは、物件が全て満室になったと仮定した場合の賃料収入(満室賃料)を前提としている指標で、
満室賃料収入を物件価格で割って算出される収益率を表に出して営業されることもあるのです。
もちろん常に満室であれば何も問題ないように思えますが、
実際にはそう上手くいかないことも多いので特に注意した方がいいです。
また表面利回りでは各種諸経費も無視していて現実に即していません。
簡単に計算できますしパッと見の数値は良く見えますが、
実際に運用した時の実態とかけ離れていて失敗の原因になるかもしれません。
そのため物件を検討する際はぜひFCRを算出して考えましょう。
2. FCRの計算例
では具体的に簡単な例でFCRを計算してみましょう。
・年間家賃収入:110万円(月10万円の家賃収入があるが、1か月分の空室発生予測がある)
・物件価格:2,000万円
・年間経費:12万円
・物件価格:2,000万円
・年間経費:12万円
という区分マンション物件の場合、
年間家賃収入110万円÷物件購入費用2,000万円(+諸経費12万円)×100=5.4%
となります。
表面利回りで計算すると、
年間家賃収入120万円÷物件購入費用2,000万円×100=6%
となるのでFCRよりも大きい数字になりますよね。
これが、経費がもっとかかる物件だったり、空室率が高い物件だと、
表面利回りの値に比べ、FCRがの値がかなり低くなり、より実態とかけ離れてしまいます。
その場合、運用するとなると誤算がたくさん出てくることになります。
そのため物件検討時にはFCRで計算してキャッシュフローの安定性を目指していくのがオススメなのです。
3. CCRって何?
次にCCRについて覚えていきましょう。
CCRとは自己資金配当率のことで、英語では“Cash on Cash Return”となります。
計算式は以下のように算出できます。
キャッシュフロー(実際の現金収入)÷自己資金×100(%)
つまり物件購入時に支払った自己資金に対する、年間のキャッシュフローの割合を指します。
どれだけ自分の資金を早く回収できるか、借入れで利益を生み出せているかという投資効率いわゆるレバレッジが効いているかという指標です。
特にCCRは不動産投資特有の指標といえます。
なぜかというと、不動産投資を行なう上でほとんどの人は金融機関からの融資を用いることが多いためです。
これが例えば株式投資ということになれば基本的には自己資金のみで証券会社にて株券を購入するでしょう。
FX投資であればレバレッジをかけて運用することもあるかもしれませんが、
基本的には変動性が高いので短期的な売買を目的としています。
そのため長期的な指標は必要ないかと思います。
不動産投資は長期的な投資計画で運用します。
そして借入れ返済も発生するのです。
まさにどれだけ自分の資金を早く回収できるか、
借入れで利益を生み出せているか、というCCRが、不動産投資特有で、かつ大事な指標となるわけですね。
4. CCRの計算例
CCRを活用するメリットはいくつかありますが、
その中の1つにレバレッジ効果の高さを知ることができるというものがあります。
CCRが高ければ、少ない自己資金で効率的に大きな資金を得られていると判断できます。
では具体的に簡単な例でCCRを計算してみましょう。
2,000万円の物件を自己資金で購入したパターンと、
その倍の価格4,000万円だけど収益も倍の物件を融資を受けて購入したパターンで比較してみます。
●パターンA
・購入価格:2,000万円
・自己資金:2,000万円
・借入金額:0万円
・年間キャッシュフロー:200万円
●パターンB
・購入価格:4,000万円
・自己資金:2,000万円
・借入金額:2,000万円
・年間キャッシュフロー:400万円
・購入価格:2,000万円
・自己資金:2,000万円
・借入金額:0万円
・年間キャッシュフロー:200万円
●パターンB
・購入価格:4,000万円
・自己資金:2,000万円
・借入金額:2,000万円
・年間キャッシュフロー:400万円
それぞれ計算してみます。
●パターンA
200万円÷2,000万円×100=10%
●パターンB
400万円÷2,000万円×100=20%
200万円÷2,000万円×100=10%
●パターンB
400万円÷2,000万円×100=20%
となります。
つまりパターンAは自己資金を回収するまでに10%なので100÷10で10年かかりますが、
パターンBでは100÷20で5年となり半分の時間で自己資金を回収することが可能というわけです。
この自己資金の回収効率の差は、借入金という他人資本を活用して不動産投資を行なったことで生じています。
つまり物件購入にレバレッジを効かせたことで投資効率が上がったのです。
というわけでCCRを算出することで自己資金の回収期間を判断し、
早めに回収する計画を立てられることもメリットの1つです。
自己資金を早めに回収できれば、その資金を使ってまた新しい物件を購入できます。
不動産投資には経済状況による家賃変動や災害などによるリスクがあります。
そのため物件1つでは心配なので出来るだけリスクヘッジするためにも複数の物件を運用させる方法はオススメです。
不動産投資初心者の方だと融資を受けようにも金融機関からの信用度がどうしても少ないです。
そのため融資額が足りず複数の物件を運用するのが難しいというのが現実です。
しかし1件目の物件購入で使った自己資金を早く回収できれば投資用不動産の運用実績を作ることができますし、
それだけ早く2件目の物件運用に役立てることができるのです。
複数運用に関してはこちらの記事も参考にしてみてください。
5. CCRの注意点、LTV・ROIの関係
CCR(自己資金配当率)を扱う上での注意点を3つ紹介します。
○CCRの注意点その1
まずCCRは自己資金の回収効率を示す指標なので、
フルローンで物件を購入した際には用いることができないので注意が必要です。
○CCRの注意点その2
CCRはあくまで指標であるという点にも注意しましょう。
前述でも説明したとおり、CCRはどれだけ自分の資金を早く回収できるかという予測を算出できる便利なものですが、
年間のキャッシュフローは物件修繕費や家賃変動などの突発的な事象により年毎に変動する可能性があります。
○CCRの注意点その3
CCRは高ければいいというものではありません。
CCRが高いことで、金利変動によって収支が大きく変わる可能性もあります。
CCRが高いということは借入割合が大きくなる傾向が多くあり、
借入額が多くなるということは、ローン返済額が増え、
ローン返済額が増えるということは…金利変動によりキャッシュフローへの影響が大きくなることに繋がります。
CCRのみで物件選びや運用計画を立てるのは気を付けた方が良いでしょう。
ここで新たな単語を出しますが、LTVとROIという2つの指標もあわせて参考にするのがオススメです。
FCR、CCRに続きアルファベット3文字の単語を、
さらに2つも投下するなんて…と思われるかもしれませんが、簡単に説明します。
○LTV
融資比率のことで英語では“Loan To Value”となります。
LTVの計算式は以下の通りです。
LTV=借入金額÷物件購入価格×100
一般的にはLTVは80%以下、自己資本の割合が20%以上になるのが理想といわれています。
先ほどのパターンBの例に当てはめると、
借入金額2,000万円÷物件購入価格4,000万円×100=50%
となるので一般的に考えればもう少し借入れ金額を増やしてもいいかもしれないと判断できますね。
○ROI
投資利益率のことで英語では“Return On Investment”となります。
ROIの計算式は以下の通りです。
ROI=年間のキャッシュフロー÷物件購入総額(購入価格+諸費用)×100
自己資本+借入金額を含めて利益率を算出しているのがCCRと違う点です。
一般的にCCRは25%以上、ROIは5%以上となるようにすれば、
CCRに偏らず金利リスクも抑えることができるかもしれません。
先ほどのパターンBの例に当てはめると、
年間キャッシュフロー400万円÷購入価格4,000万円×100=10%
となるのでROIからみてももう少し借入れ金額を増やして、
レバレッジ効果とリスクのバランスを考えた方がいいと判断できます。
いかがだったでしょうか。
今回は「FCRとCCRについて」解説してみました。
物件自体の実力指標となるFCRと投資効率の指標となるCCR、さらにはLTVとROIも組み合わせ、
自己資金と借入金額のバランスを判断し効率良い投資計画を立てましょう。
これらの重要な単語は今すぐにでも覚えてもらって、
あなたの投資効率が最大になるように活用できる事を祈っています。